フォーブス ジャパン編集部 エディター




当時のWIND AND SEAは、今ではアイコンになった“SEA”というグラフィックのTシャツを販売する前。スタッフも2名しかおらず、ECもSTORES.jpで販売してみているだけ、という状況で。ほぼゼロに近かったのですが、熊谷さんというコンテンツとWIND AND SEAというタイトルがあった。それらを生かして、ブランドを伸ばしていこうと考えました。

商品は売れなくていい、供給は常に枯渇状態で

──ブランドを伸ばしてくにあたって、どのような戦略があったのでしょうか?

赤坂:長くアパレル業界に携わってきている方々は服を売ろうとするのですが、僕の場合は「服は売っちゃいけない」と思っています。

もちろんビジネスなので、前者の考えも理解できますが、個人的にはほとんど服を売らず、流通量を極限まで絞る。それによって、ブランド価値が向上していくとイメージしていたので、商品自体は少量しか世の中で出回らせない。

例えば、あるグラフィックのTシャツが売れ始めたら、多くのブランドはそのTシャツをここぞとばかりに売りに行くと思いますが、それはしたくない。なぜなら、それをやってしまうとすぐに飽きられてしまいますし、そのグラフィックしか売れなくなってしまう。

短サイクルかつ継続的に新しいグラフィックを投入できなければ、ブランドではなくグラフィックが売れてしまうことになる。そうするとブランドに人がついてこなくなってしまうと思っているので、そういった点には特に気をつけています。

──WIND AND SEAは毎週末、新商品を販売していて、その多くがすぐに売り切れています。これも狙いがあるのでしょうか?

すぐに売り切れるのは意図的に生み出している状況です。土曜日の正午に販売を開始していますが、販売開始後の数分で全商品が売り切れることで、在庫リスクを絶対に負わない。アパレルの1番のリスクは在庫だと思っているので、在庫リスクを負わず、早期に売り切れることでブランド価値の向上を狙っています。販売機会損失は全然考えていないですね。

セールは最悪です。価格が高いと買ってもらえないから安くしました、というのはブランド価値の低下を招いているだけ。価格を上げても買いたいと思ってもらえるような価値にしていかないといけないので、需要に対して供給は常に枯渇状態をつくっておく。そういった考えのもと取り組んでいます。

さらに、在庫が余るということは、これまでほとんどのブランドがそうであったように、余剰在庫を廃棄しなければならない。世界的にサステナビリティが叫ばれている今、計画的に在庫をコントロールすることは、ビジネス側面だけでなく、環境保全の観点からも非常に重要なことだと思っています。

文=新國翔大 人物写真=小田駿一

PICK UP

あなたにおすすめ