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日本を訪れる旅行者が離日後に懐かしく思うこと、「日本滞在中に存分に楽しんでおけよ」と同胞旅行者たちに伝えたいことは何だろう。もしかするとそこに、われわれがもっと愛でながら暮らしてもいい、わが国のささやかな魅力が潜んでいるかもしれない。

日本を訪れる旅行者や、海外からの日本長期滞在者向けメディア「Japan Inside」の外国人記者が、外国人旅行者や、半年から10年以上日本に住み、最近帰国した外国人たちに取材し、まとめたリストがある。翻訳転載許諾を得たので、3回にわたって掲載する。


私たち外国人の多くはある時点で日本に別れを告げ、それぞれの故郷に帰らなければならない。

日本のああいうところがよかったとすぐに恋しくなることもあれば、帰国して数週間、あるいは数カ月経ってからようやく心に沁み戻ってくることもある。

日本に「さよなら」を告げて故郷に戻った外国人が心から懐かしく感じる、日本のユニークでささやかな魅力について、順不同で紹介しよう。

1. レストランに入ると出てくる「おしぼり」タオル



町を歩き回ったわが手は、清潔とは言い難い──エスカレーターの手すりにつかまり、現金を触り、電車のつり革にぶら下がり、あげくにはこっそり鼻をほじり……。そう思うと、流行のカフェに座ってサンドイッチやベーグルを食べる魅力も半減だ。

しかし日本では、ほぼすべてのレストラン、カフェ、和風の居酒屋で、席に座った瞬間、手を拭くための濡れたタオル(「おしぼり」と呼ばれる)が差し出される。 私がインタビューをした帰国者の多くは、自分の国にこの「ハンドタオル」がないことを嘆いていた。仕方なく代替品として、ウェットティッシュをバッグに常備することが帰国後の習慣になった人もいた。

2. チップ不要。しかもファーストクラスのサービス



日本のレストランでは、時給800円─1000円で働く店員から、ちょっとした有名人のような扱いが期待できる。敬語。お辞儀。あなたが支払いを待っているのを見つけると文字通りダッシュで駆けつけてくれるし、注文の手違いはめったに起こらない。そして何が最高かというと、このファーストクラスのサービスを受けるときに、「一銭も払う必要がない」ことだ。彼らは、自分の仕事を抜群に上手にこなしているだけ。客から「余分にもらう」ことを期待していないのだ。

チップが義務づけられている国(アメリカ)や、少なくともある程度は期待される国(イギリス)から日本を訪れた旅行者は、帰国後、大いにショックを受ける可能性がある。サービスが大したことがないのにチップを払うプレッシャーから逃れられなかったり、店のドアをくぐったとたんにチップを期待していることを感じさせるような、いわば鼻につくサービスを受けたり(執筆者は後者のほうがはるかに苦手だ)したときはなおさらだ。

3. 飲む前に必ず「カンパイ」すること



仕事の後にビールを軽く一杯飲むときも、何十人も参加する送別会の席でも、日本では全員がグラスを手に持ち、心をこめてグラスを合わせるまで、誰も酒に口をつけることはない。

筆者のように日本にある程度長く住んでいると、この習慣が深く根づいてしまうらしく、自宅でビールを飲むときでも、ふと気づけば飼っている金魚に「カンパイ」とつぶやいている。長く日本に暮らした後では、一緒にパブに入った友人が、あなたの飲み物が注がれる前に厚かましくもグラスに口をつけようものなら、その手からグラスをはたき落として「無礼者」呼ばわりしたい衝動に駆られるだろう。

翻訳=鹿田昌美 編集=石井節子

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