例えば、精神的な健康に欠かせない睡眠と運動(に充てられる時間)は、ソーシャルメディア(を利用する時間)によって奪われる。研究チームは結果について、次のように説明している。
「私たちの研究結果が示すのは、ソーシャルメディアはそれ自体が害をもたらすわけではなく、頻繁な利用によって睡眠や運動といったメンタルヘルスに良い影響を与える活動が減り、同時にネットいじめによる嫌な体験や有害なコンテンツに接する機会が増える可能性があるということだ」
ソーシャルメディアはまた、メンタルヘルスや幸福に大きく関わる他者との直接的な接触を減らす(ただし、この研究ではその点に関する調査は行っていない)。影響を及ぼす要因は、その他にもあるだろう。
過去の複数の研究は、ソーシャルメディアの根本的な性質が、私たちに実際にダメージを与えているとの結果を示している。他人の生活の様子を見て、そしてそれらを自分と比較することは、基本的につらいことだ。
複数の要因が精神に打撃
ソーシャルメディアは利用者(特に10代の子供たち)を、運動や睡眠(そして人との交流)といったその他のより有益な活動から遠ざける原因になる。そして、同時に有害なものになり得るのが、ソーシャルメディアの性質そのものだ。実際のところ、いくつもの要因と相互作用が、同時に影響を及ぼしていると考えられる。
新たな調査結果については、参加者が1日のうちにソーシャルメディアにログインした回数を調べたのみで、1日に実際に費やした「時間」を把握していなかった。この点は、結果を限定的なものにしている。利用回数と利用時間の長さを差別化することは重要であり、結果に明確な違いを生んでいた可能性がある。
ソーシャルメディアについては現在も、その他の数多くの研究が進められているはずだ。だが、現時点で「私たちにとっては、ソーシャルメディアの利用以上に良いことがたくさんある」と言って問題はないだろう。再びそれらの活動に充てる時間を増やし、ソーシャルメディアを「賢く使うこと」が、賢明なことだと考えられる。