解決の一手は「バナナペーパー」にあり。自分探しの旅で目にしたゴミ山の衝撃 #30UNDER30

Kumae代表 山勢拓弥


カンボジアのゴミ山周辺の雇用問題や教育問題に取り組んできた山勢。これからの目標を聞くと、意外な答えが返ってきた。

「いまのベクトルは、日本人に向いています。日本人大学生のインターンの受け入れや、日本人向けのツアーに力を入れていきたい。これからもカンボジアというフィールドを使わせてもらい、カンボジア人に迷惑を掛けずに、少しでも意味のあることを行いたいです」

それは山勢自身、Kumaeにインターンのためやってきた日本人学生と交流する中で見えてきた課題でもある。インターン生である大学生に対して観光のツアーの企画をお願いすると、こんな問いが返ってきた。「どんなツアーにすれば良いですか」。

「君に任せるよ」と山勢が言うと、その学生はKumaeのバナナペーパー事業などを見学するという工夫のないツアーを組み立てきた。「日本人は正解を求め、『枠の中』でしか考えられないことが多いことに気づいた」と語る山勢。学生には、さらにこう尋ねた。「本当に君のやりたいことはなに?」

こういったミュニケーションを重ね、1ヶ月もすると、日本人のインターン生にも変化が起きる。

「今まではKumaeの事業の手札から組み合わせてツアーを作っていたんですけど、その子なりに『ゴミ山の問題を知ってほしい』という目的ができて、そこから新しい手札を使えるようになって。これは大きな変化でしたし、まだまだ成長するという可能性を感じました」

大学生を中心に受け入れを行うインターン事業から、世界でも活躍できる人材を輩出したいと山勢は語る。

どんなに困難にぶち当たろうと立ち向かい、現実を変えるために、全力で解決に乗り出す。彼が大事にしている言葉「行動はメッセージ」を体現しているようだ。

「僕はカンボジアの活動を19歳から始めて周りの大人からいろんなことを言われました。『大学を卒業してからでも良い』『そんな若いのに何ができるんだ』と。でも行動に移す人はほんの一握りだし、行動に移さないと伝わらないことがたくさんあります。つまり、行動はメッセージなのです。それに僕はこう思うんです。カンボジアほど、自由な発想ができる場所ってないですよ」

<受賞者たちへの共通質問>

今後3年で成し遂げたいことは?




やませ・たくや◎1993年生まれ。大学を1年で中退し、カンボジアへ。2015年に一般社団法人Kumaeを立ち上げ、カンボジアでバナナペーパー事業や日本語学校などを運営。

文=田中一成 写真=小田駿一

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