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MEDULLA(メデュラ)

アパレル業界を中心に、日本でも近年大きな注目を集めるようになったD2C(Direct to Consumer)。生産工程から販売までを一気通貫で行うことによって良質な商品を適正価格で届けるという仕組みに、ECやデータ活用などのテクノロジーを掛け合わせた、ブランド運営の新しい手法の一つだ。

多領域におけるD2Cブランドへの取材を行ってきた中で、前編で紹介した“プロダクトファースト”という一つの本質が見えた。D2Cという仕組みはむしろ、新しい時代におけるモノづくりのツールである。

D2CをD2Cたらしめる“デジタル起点”という概念

そもそも、D2Cの考え方自体は新しいものではない。冒頭でも述べたように、D2Cブランドを特徴づけているのは、そこにテクノロジーを掛け合わせている点だ。“プロダクトファースト”にならぶ、D2Cブランドのもうひとつの特徴が“デジタル起点”である。

ヘアケアブランド「MEDULLA(メデュラ)」を生み出したSpartyの深山(みやま)陽介は、妻が自分に合うシャンプーに出会えないという課題に対して「これだけ商品があるのに自分にあったものが見つからない。それならばパーソナライズすればいい」と思いつく。18年5月にブランドをスタートし、19年4月の全面リニューアルをきっかけに製造販売元であるサティス製薬と協業。カウンセリングを経て約3万通りからパーソナライズされたヘアケアセットが届く仕組みを作った。現在の会員数は2万超。



MEDULLAを購入するためには、カウンセリングが必要だ。「プロダクトではなく、購入にまつわるプロセス自体がブランド」と深山は考える。こうした考えのもと、深山が用意した顧客とのタッチポイントがヘアサロンだった。

まずは都内の複数サロンと提携し、カウンセリングを実施。ここでスタイリストが選んだ処方に従って、パーソナライズされた商品をMEDULLAが届ける仕組み。売れ行きに応じて、ヘアサロンにも売り上げの一部が入る。接点をオフラインに拡張することで顧客から圧倒的な信頼感を得ており、オフライン経由でのリピート率はなんと90%を超えるという。

この仕組みでポイントとなるのは、販売チャネルが統一されていること。パーソナライズ商材ということもあって、その場での販売はできない。しかし、処方に合わせてMEDULLAが商品製造・発送を行うことで、顧客への販売経路は自社オンラインに集約される。顧客データや購買データが全て自社に蓄積されるため、ヘアサロン=オフラインを介しながらも、データはすべて自社のオンライン上に溜まる。まさに、テクノロジーを用いたD2Cならではのスキームだ。

「D2Cの最大の特徴は、デジタル起点でチャネルに変革を起したこと。これまでデジタルを使ってリアルへと送客していたビジネスが、D2Cという仕組みによって、スマホを起点にオムニチャネルへと広がりました。顧客接点をアナログに広げつつも、接点はすべてデジタルで管理できます」(深山)

文・写真=角田貴広

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