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頭を使わない活動は創造的思考に重要であるにもかかわらず、なぜ私たちはそれを恐れるようになったのだろう?

米バージニア大学の2014年の調査では、参加者に何もしないことと電気ショックのどちらを選ぶかを尋ねた。参加者のうち、金を払ってでも電気ショックを避けると述べておきながらも、沈黙して座り続ける状況を強いられた際に自分で電気ショックを受けることを選んだ人の割合は、男性では67%、女性では25%に上った。

この実験を考案した社会心理学者のティモシー・ウィルソンは、この結果は私たちが思考を制御する上で抱える問題を示しているのかもしれないと指摘している。「人の思考は世界と関わるように作られている」とウィルソン。「そのため、集中すべきものがないと、どうすればいいのか分からなくなる」

私は数年前、素晴らしいリーダー/コーチで心理学者のロージー・ウォルフォードが創始した「The Big Stretch」という研修会に参加し、スペインのピコス・デ・エウロパ山で1週間を過ごした。

ウォルフォードは朝に、「自分の葬式で人々に何と言ってほしいか」などの深い問いを投げ掛け、私たち参加者8人は自分に正直な答えを出そうと努めた。私たちは問いについてとても真剣に考えたが、大半の参加者は特に深い答えを出せなかった。前頭前皮質が締め付けられていたのだ。

次にウォルフォードは、私たちをゆったりとしたハイキングや、カヌーでののんびりとした川下りの旅に連れ出した。私たちは1日を、自然の中で過ごした。携帯電話も、気が散るものもなく、会話も少なく、ただ壮大な景色の中で何もしない1日を過ごした。私は、山を登れるか、川を下れるかなど多くのことを考えていたが、その日の大きな問いについてだけは考えていなかったのを覚えている。

その後、入浴・休憩を済ませて夕食前に集まった私たちに、とても驚くべきことが起きた。1日中、特に何も意識的に考えていなかったにもかかわらず、私たちの脳は情報を処理していたのだ。朝には全くインスピレーションを持てなかった私たちだったが、一日の終わりには誰もが、豊かで心理的に意義深いアイデアを思いつくことができた。

この深い思想もたらしたものは何だったのか? それは、「何もしないこと」だった。ただ心を自由にさまよわせることを許してくれた、大きな空と広大な風景だったのだ。

編集=遠藤宗生

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