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スペキュラティブ・ファッションデザイナーの川崎和也

いま川崎和也は、数百年のファッションの歴史の塗り替える実験をしている。

「世界を変える30歳未満」として、川崎は日本を代表するビジョンや才能の持ち主を30人選出する名物企画「30 UNDER 30 JAPAN 2019」のサイエンス部門で選出された。



川崎の肩書はユニークだ。

スペキュラティブ・ファッションデザイナー。デザインの役割とは一般的に、「人々の課題を解決する」ことである。一方でスペキュラティブデザインとは「問題提起」のデザイン。つまり、ファッション業界に対してテクノロジーやサイエンスなどあらゆる領域を横断しながら世の中に問いを投げかける取り組みを行う。

例えば、第22回文化庁メディア芸術 アート部門審査委員会推薦作品に選出された「バイオロジカル・テイラーメイド」。

これは「もしも未来の仕立て屋がバイオハッカーになったら」という未来像の下、川崎が培養したバクテリアセルロースというバイオ素材を使い、3Dデザインのプロセスを経て着用者のスタイルにぴったり合うよう製作されたテイラードスーツだ。


人物が着ているブラウンのジャケットが、バクテリアセルロースから作られたもの

ファッション業界が抱える「環境問題」に対して、生地廃棄ゼロかつ染料などで環境汚染をしない方法で服を仕立てることで、世の中に「問い」を投げかけるコンセプトをもつ。

川崎が目指すのは、“混濁と調和”。ファッション、サイエンス、テクノロジー…… 異なる領域同士を混濁させ、調和に導き、最終的には新しい概念をつくることが川崎のビジョンだ。

取材当日、3Dプリンタや半田ごて、無数のネジや配線などの金属部品が散乱した研究室でのインタビュー中に、次々と飛び出したファッション業界への新たな提案。そのミスマッチな組み合わせが、あらゆる領域を横断して価値創造に挑む彼のアイデンティティを象徴している。

「サステナブルかつデジタルに新しい欲望を生み出すデザインを」と語る川崎はいま、トレンドになっているスローファッションとは異なるアプローチから、ファッション業界が抱える巨大かつ複雑な「環境問題」に対峙している。

文=田中一成 写真=伊藤 圭

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