ビジネス

2019.08.24

アフリカを救う少額ローンアプリ「タラ」が120億円を調達

タラCEOシヴァニ・シロヤ(Photo by Nicholas Hunt/Getty Images)

アフリカやアジアの銀行口座を持たない人々向けに、小規模ローンを提供するフィンテック企業「タラ(Tala)」が、8月21日、新規で1億1000万ドル(約117億円)を調達した。タラはロサンゼルスに本拠を置いている。

今回の調達は、元ソフトバンク・ビジョン・ファンドのKabir Misraが立ち上げたシリコンバレーのベンチャーキャピタル、RPS Venturesが主導した。タラの出資にはペイパルや、ビリオネアのスティーブ・ケース、クリス・サッカらも参加している。関係筋によると、同社は今回の調達に際し、8億ドルの評価を受けており、累計で2億ドル以上を調達している。

タラを創業したのは現在37歳の女性起業家、シヴァニ・シロヤだ。彼女はUBSのエクイティリサーチ部門に勤務した後、国連人口基金のマイクロファイナンス関連プロジェクトのメンバーとして、アフリカとアジアに2年半滞在した経歴を持つ。

タラのモバイルアプリは、ケニアやフィリピン、タンザニア、メキシコ、インドで10ドルから500ドル程度の貸付を行っている。顧客の大半は、小規模な店の経営者という。貸し出しリスクの算定にあたり、タラは携帯電話料金の支払い動向をチェックしている。

タラのアプリは2014年にケニアで始動し、現在の利用者数は400万人以上という。顧客らは年間3件から6件の貸し出しを行い、平均的な金利は月10%程度だ。同社は600人の社員を米国やケニア、メキシコ、フィリピン、インドで雇用している。タラは今年、フォーブスが選出するフィンテック企業のリスト「Fintech 50」にも選ばれた。

タラの競合といえるのはKivaの元CEOが創業したスタートアップのBranchだ。創業5年のBranchは400万人の顧客らに、平均15%の金利で貸し出しを行っている。同社は今年の始めに7000万ドルをエクイティでVISAやアンドリーセン・ホロウィッツから調達し、デットで1億ドルを調達していた。タラも昨年、1億ドルをデットで調達していた。

新たな資金でタラは、インド事業に投資を行い、西アフリカや東南アジア、ラテンアメリカの市場を開拓していく。さらに、小口の健康保険などの新たなプロダクトも開発する。同社は既にケニアで健康保険のベータ版を提供中で、今後の12カ月間でこの事業を拡大する。さらに来年には、金融知識を学ばせるプログラムも始動する計画だ。

編集=上田裕資

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