映像分野のクリエイターの要望にも
今回の発表で注目すべきは新生銀行グループの昭和リースとの業務提携により、サブスクリプションサービスの新たなスキームを提案したことだ。
カメラや機材などを、ひとりでも多くの会員に貸し出すには、当然ながらカメラの購入費や保管するための倉庫費など多額のコストがかかる。同様のサービスを展開する他社は、カメラメーカーとリース契約を結んだり、余剰在庫を借りるなどでコスト削減に努めている。
カメラブはこの課題に対し、昭和リースとの業務提携で機材購入予算枠という形の資金を調達し、新たな解決方法を見い出した。
「機材はすべて昭和リースが購入します。リース契約も結んでいないので、もし機材がレンタルされなければ手数料を支払う必要もありません」(高坂)
今後、フォトグラファーに加えて、映像分野のクリエイターの要望にも応えるべく、継続的な機材拡充を予定しているという。
カメラ版のウーバーを目指す
また、カメラのレンタルを行う競合他社との違いについて「各社ともターゲットは被っていません。カメラのレンタル会社は、旅行へ行くために数日間借りるといったお客さんがメインですが、弊社は撮影体験を通じてカメラをライフスタイルに取り入れ、望むお客さんには仕事にしてもらうまでを考えている」と高坂は言う。
サブスクによる機材入手のハードルを下げることは第一段階に過ぎず、次なる段階として、カメラの扱い方を覚え楽しさを覚えること。カメラなどの機材は非常に複雑で、なかなか使いこなせるまでに至らずに挫折してしまう人も多いからだ。そして仕事にまでしてもらうためにフォトグラファーマッチングサービス「camelove」をすでに展開している。
ラブグラフなど出張写真撮影サービスを提供している他社もあるが、cameloveは多種多様なカメラマンに撮影してもらうだけにとどまらず、撮影の方法を教えてもらったり、フォトグラファーしか知らない“映え”するスポットへ一緒に行くサービスも順次展開していく予定だ。一眼レフカメラ初心者が、機材に触れるハードルを下げ、撮影方法を習うことでフォトグラファーとして成長し、教える側にもなれるというエコシステムをつくろうとしている。
さらに、高坂はタクシーに乗るくらいの感覚でフォトグラファーに撮影を頼む世界を実現したいという。言ってしまえばカメラ版のウーバーだ。テーマパークに事前にフォトグラファーが待機し、アプリで呼ぶとすぐに撮影してもらえるといった具合にだ。こうしたさまざまなアイディアを活かしながら、カメラブは業界のプラットフォームを目指していく。