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Piotr Swat / shutterstock.com

中国のテンセントが8月14日に発表した、2019年4~6月期決算は、純利益が前年同期比35%増の241億元(約3600億円)となった。中国政府は昨年から新作ゲームの審査を停止していたが、審査が再開されたのが追い風になった。

ただし、テンセントの広告事業は競合の追い上げに直面している。国内の景気減速と、新興勢力のバイトダンスなどの台頭により、同社はかつての勢いを維持できていない。メッセージアプリWeChatへの広告出稿も、競合に奪われている。

バイトダンスが運営する短編動画アプリ「TikTok」は、インタラクティブな広告枠をテンセントよりも安価で提供中だ。TikTokは現在、世界で5億人以上のアクティブユーザーを抱えている。

テンセントのEコマース部門の業績は安定しているものの、広告部門での苦戦は鮮明だ。今回の決算で、同社の売上高の20%弱を占めるネット広告事業は前年比16%増で、前年同期の39%増から、大幅に成長が鈍化した。

一方で、動画配信サイトのテンセントビデオでは、人気タイトルの配信が遅延した。テンセントビデオは5月に人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」の最終回を配信予定だったが、直前になって延期が決まった。同社はその理由を明かさなかったが、米中の貿易摩擦の影響が指摘され、他にもいくつかの作品の配信が延期された。

この結果、メディア広告売上も前年比7%減の44億元になり、出稿を見合わせる大手ブランドも相次いだ。

厳しい状況に直面したテンセントは大幅なコスト削減に踏み切り、マーケティング費用を前年比で25%削減した。その結果、第2四半期の売上は予想を下回る前年比22%増の888億元だったが、純利益は前年比35%増の241億元となった。

ただし、テンセントにとって好材料なのは、ゲーム事業に回復の兆しがあることだ。アナリストは同社の売上の約半分を占めるゲーム事業の売上が、今後の四半期で上昇していくと述べている。

テンセントは人気のシューティングゲーム「PUBG」を配信しようとしたが、内容が「社会主義的価値観にそぐわない」として政府の認可を得られなかった。しかし、同社はPUBGとそっくりの操作性のゲームに愛国要素を盛り込んだ「和平精鋭(Game for Peace)」で、政府の認可を獲得した。和平精鋭は「百人の対テロ軍事訓練」を題材としており、テンセントの広報は「PUBGとは全く異なるゲームだ」とロイターの取材に答えていた。

コンサルティング企業のNiko Partnersは、和平精鋭が年内に10億ドル規模の売上を生み出すと予測している。

「和平精鋭はテンセントに、長期的な利益をもたらす作品になり得る。しかし、かつて2億人の利用者を集めた『王者栄耀(Honor of Kings)』の大ヒットを再現できるかどうかは、分からない」と調査企業IHS Markitの担当者は話した。

編集=上田裕資

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