全米の大学を席巻中の「出前ロボット」スターシップの躍進

スターシップ・テクノロジーズのロボット(同社提供)

米国の各地の大学にフードデリバリーのロボットを配備中の「スターシップ・テクノロジーズ(Starship Technologies)」が、新規で4000万ドル(約43億円)の資金調達を実施した。スターシップは今後、100の大学のキャンパスにサービスを拡大する計画だ。

サンフランシスコ本拠のスターシップの累計資金調達額は8500万ドルに達している。同社は全長約60センチの小型ロボットで、コーヒーやピザなどを宅配し、先日はピッツバーグ大学でのサービスを開始した。

CEOのLex Bayerは、2021年までに100の大学に拠点を広げる目標を描いている。ロボットを活用したフードデリバリーは、今注目の分野だ。Postmatesも昨年12月からServeと呼ばれるロボットの運用を開始しており、NuroやKiwibot、Marbleなどのロボットメーカーも知られている。

スターシップはスカイプの共同創業者アーティ・ヘインラとヤヌス・フリスが2014年に創業した企業だ。現CEOのBayerはエアビーアンドビーの幹部を務めた後、昨年からスターシップに加わった。

設立から4年間をかけてスターシップは、自律走行するロボットの技術を磨き上げた。同社のロボットはセンサーやカメラ、レーダーで周囲の状況を把握しつつ街路を走行する。ルートの最適化にはAI(人工知能)やマッピングデータも活用している。

さらに、ワシントンDCのコントロールセンターから走行状況をリアルタイムで把握し、走行中のトラブルを監視している。同社は安定的な需要が見込める大学キャンパスでの運用に注力し、ダンキンドーナツなどの有名チェーンや、地元のレストランの食事を運んでいる。配達料は固定で、1回あたり1.99ドルの設定だ。

スターシップのロボットは時速4マイルで走行し、深夜や雨天でも問題なく食事を届けられる。「周囲の人々を怖がらせない、可愛いデザインに仕上げた」とBayerは話した。

同社は現在、250台のロボットを運用中で、1大学あたり25〜50台を配備しており、年内に500台から1000台程度まで、台数を増やす計画だ。

Bayerによると同社はこれまで累計で、10万件の配達をこなし、累計走行距離は35万マイルに達したという。スターシップのロボットは英国で、生鮮食品のデリバリーにも使用されているが、今後最も成長が期待できるのは大学のキャンパスだという。「当社の成長を牽引するのは大学生たちだ」とBayerは述べた。

編集=上田裕資

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