8月20日、香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)」は、フェイスブックやツイッターらが今後、中国からの逆風に直面するとの記事を掲載した。SCMPは中国政府のメディアではないが、政府寄りの見方で知られている。
記事によると、ツイッターやフェイスブックは今後、世界第2位の市場である中国からの広告売上の減少に直面することになる。SCMPの記者は、深セン本拠のシンクタンクChina Development Instituteのアナリストの発言を引用し、「2社の今回のアカウント停止措置は、中国からの広告収入にネガティブな影響を与える」と警告した。
被害が大きいのはフェイスブックになりそうだ。フェイスブックが中国の広告主から得る売上げは50億ドルに及ぶとの試算もある。同社は直近の年次決算報告で、「中国の広告主から多大な収入を得ている」と述べていた。
米国のニュースサイトBuzzFeedは8月20日、中国の政府系メディアがフェイスブックに出稿した広告についてレポートした。その広告は、中国政府が新疆ウイグル自治区で少数民族を弾圧しているとの西側メディアの見方を否定する内容だった。
米国との貿易戦争が激しさを増す中で、中国商務省は今年5月、「中国版のブラックリスト」を作成すると宣言した。商務省はこのリストに「市場のルールに従わず、中国企業の正当な権利と利益を著しく損なう外国企業や団体及び個人」が掲載されると述べた。
フェイスブックやツイッターらが今後、このリストに加えられることは容易に想像がつく。中国の政府系メディアは今、米国のソーシャルメディアが検閲を行ったとの非難を開始した。
中国共産党系メディアのGlobal Timesは「中国への偏見に支配されたソーシャルメディアに対する怒りが高まっている」と報道した。「メディアプラットフォームは表現の自由を守る、社会的責任を果たすべきだ。西側諸国による政治的偏見の犠牲になってはならない」と、同紙は主張した。
米中の対立が、ソーシャルメディア上の表現に関わる問題にまで発展した事は、非常に興味深い。プレッシャーの高まりの中で、今後の数週間でさらに新たな動きが起こりそうだ。