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2019.08.22

「組織は常に、今が最高でなくちゃ」激変する組織をリードし続けた、一休CHROの解

2015年12月15日、約1,000億円でTOB(株式公開買付け)を実施したヤフーが、一休を完全子会社化した。このニュースは、近年のM&Aの中でも、未だに強烈な印象が残るセンセーショナルなものだ。

誰もが予想しなかったこのニュースの2ヶ月前。直後に待ち受ける激震など当然知る由もなく、「虫の知らせのような感覚」で自ら手を挙げ、人事に着任していた人物。それが、「一休の大ファン」を豪語する、執行役員CHROの植村弘子だ。

衝撃が走った組織にどのように向き合ったのか。そして、どのようにして、更なる成長へ向け、強い組織へと変革していったのか。

そこには一休のサービス、奮闘する社員一人ひとりを愛し、自ら率先して既成概念や慣習にとらわれない挑戦を続けて変化する、植村の姿があった。

新生「一休」で、やり遂げると腹を括った日


一休がヤフーの傘下に入ることを、全社員に告げた時のことだ。植村は、一休の社員と向かい合い、当時の森正文社長、ヤフーの代表取締役社長の宮坂学氏(現・東京都参与)・小澤隆生氏(現・取締役会長)と共に、その一部始終を見守った。

一休とヤフー、両社の姿を目にし「この会社に残ってもっともっと伸ばしていこう」と、静かに腹を括った。

2016年4月、会社が榊氏をCEOとし新体制となったタイミングで、植村も最高人事責任者であり執行役員へと昇格。植村にかけられた期待の大きさを物語る。

「役員なんて初めてでしたし、何から始めればいいかわからないわけですよ。とにかく毎日、CEOの榊と話をしました。そして、全社員に向けても連日説明会を開き、コミュニケーションを重ねました。新生一休としてスタートダッシュを切るために、とにかく足場を築き続ける日々だったかもしれませんね」

何を話したのかと聞くと、「それはもう色々」と笑ったが、一つだけ共通して発信していたメッセージを教えてくれた。

「今こそチャンスなんだ、と。シナジーがうまれるということは、できることが増える。会社としても個人としても、次のステージにいけるチャンスが来ているんだということを伝えたかった」。

変えたことはもちろん、社員とのコミュニケーションだけではない。かつての同社の人事は労務的な側面が強く、比較的守りに特化した組織だった。そこに従来の守りの強さはキープしたまま、“攻め”の要素を強めていったのだ。

そのスタートを切る中で、大切に議論を重ねた考え方がある。それは、変化の流れが激しいインターネットの世界で生きている一休が、より良いサービスを提供し続けるために、「何を大切にし、どう強くなりたいのか」ということ。

年齢や出身、経験とか関係ない。活躍する人が一番素晴らしいというシンプルな考えを徹底しよう。「誰が言うかじゃなくて、何を言うか」が一番大事。とにかくフラットな組織にしたい。そんな組織風土の実現に向け一つずつ制度も見直していった。

結果的になんとなくあった年功序列の廃止、成果主義への変革が始まった。それに合った評価制度にも変更をした。もちろん劇的にではなく3年間かけて植村らしく対話を重ねながら。

「変化の中には厳しい局面もあったかもしれない。でも厳しさは時に苦しいけど、必ず人を成長させ組織を強くする。中途半端なものは中途半端な結果しか生まないし、ぬるさは組織を弱くする。それを仲間達が教えてくれました」

その後、経営会議に参加し経営の実態に触れられる「Beyond制度」や、業務外で社内で学ぶ機会を持って欲しいと、社内外のスピーカーを招き、月に1度の勉強会を開催する「MANABIBA」も設けた。

会社をより強い、しなやかな方向へと導くために、様々な施策を手掛けた植村。その結果、一休はどう変わったのか。もちろん彼女だけの功績ではないが、この3年間、一休が最高益を出し続けていることがその結果を物語っているのではないだろうか。



人事が一番変化するという決意。ビジネスを考え現場を先回りする


管理本部の責任者でもある植村は「管理部門は事業メンバーのパートナーでいなくてはならない」という意識をメンバーたちに徹底していった。待っているだけでなく、むしろ先回りするくらいのスピードで走っていこうと。だからこそ管理本部もビジネスを理解していなくてはならないと。

当然、人事部に対するメッセージも同じだ。それは、「人事は人のことだけ見るのではない。ビジネスを考え、一番変化し続けよう」というものを3年間ずっと伝え続けてきました。

その象徴のような取り組みが、2019年5月に始めた『フューチャーラボ』だ。

フラットな立場から、現場の課題を仮説検証することを目的に立ち上げた。もっとレストラン事業を伸ばすためにはどうしたらいいのか。人を採用し配置すること以外に、人事にできることはないのか。その想いが発端となっている。

『ラボ』の名の下、レストラン事業の成長のトリガーを探るべく、専属の営業2名とアシスタント1名を新たに採用し、そこへ植村と共に走る人事の仲間を加えた5名のチームで、約200の施設を受け持つ。実際のレストラン事業のチーム同様に、店舗に通い課題をヒアリングし、解決の糸口を探す。異例の取り組みがスタートした。

現場に対して、「何でできないのか?」というメッセージを、突きつけたいわけではない。違う立場から考え抜き、行動を徹底して得た、「どうやったらできるのかのヒント」を一緒に考えたい。

世間的には「人事なんだから、人事業務に集中するべきだ」という意見もあると思う。そういった意見も正しいと肯定した上で、こう続けた。

「ただ、今の一休には、どーんと座っている人事は必要ない。それは確かなことなんです。じゃあ何をすればいいか。それは、思い切り自由に挑戦することだと思う。そんなことまでやるの?ということまで、徹底的にやる。そんな人事がいても良いんじゃないかな」

人間は、気がつけば過去の成功体験に縛られたり、自分の役割を狭めて小さくまとまってしまう生き物だ。「私たちはここまで自由にやっているんだから、大抵のことは大丈夫だと、みんなに伝わればいい」とした上で、「もちろん人事の仕事を全うした上で、ですけどね」と笑った。



挑戦できることの喜び。今、仲間と、最高のサービスを作り続ける


なぜ、そこまで頑張れるのか。一休のことを愛してやまない気持ちが原動力なのだろうか。すると、「それはもちろん」とした上で、3.11(東日本大震災)のときに感じた絶望感について、明かした。

「あの頃、毎日ただただ、キャンセルの連絡が入ったんです。あぁ、私たちのビジネスって、こんな緊急事態では役に立てないのか。当たり前の幸せの上でこそ成り立っているんだと、突きつけられた気がしました」。

厳しいことも上手くいかないこともあるけれど、こんな風に毎日、思い切りビジネスをやれていることは、とても幸せなこと。決して当たり前ではない。だからこそ「挑戦ができる今この瞬間に、最高のサービスを作り続けたい。お客様に喜んでもらいたい」。

そして、こうも続けた。「仲間の存在が、とてもありがたいです。名古屋には昔から一緒に走ってきた彼がいるし、福岡には信頼してやまない彼がいる。そうやって顔が思い浮かぶ仲間が、今では沢山います」。それは、価値観が自分と同じというわけでも、好き嫌いが同じというわけでもない。目指すゴールに、行こうぜ!と向かう本気の感覚が同じ仲間という意味だ。

また、植村は仲間たちの成長に思いを馳せた。「会社生活って長いですから。いつ何があるかわからない。でも、もし次に何か大きな変化が来たとしても、大丈夫ですよ。みんな、3年前よりも確実に強くなっている。それは誰が何と言おうと、私が知っています」。思い浮かべた植村の目には、涙が滲んでいた。

少しの沈黙の後、再び微笑んだ植村はこう言った。「あの頃の方が良かったなんていうことは絶対ない。だって、変化をして進化をしているから。私は今日が一番好きなんです」

そう微笑んだ。

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