ビジネス

2019.08.21 16:00

優秀な人材、投資家を惹きつける「ストーリー」の磨き方|GROOVE X 林 要




約束を守り続けることで紡ぐ信頼感

──貴社は各有力者からの資金調達などにも成功されているようにお見受けします。社外の人を魅了する秘訣をお教えください。

我々は資金調達が決して上手い訳ではないので、かなり地道にやっているというのが正直な所です。プレゼンだけで数十億円集めちゃう、みたいな猛者が世の中にはいますからね(笑)。

資金調達の際に大切にしていることは極力「できないことを言わない」努力をすることですね。

具体的に何をやっているかというと、まずロードマップを書いて、それに合わせて作ったモノを見せています。多くのハードウェアスタートアップはお金欲しさに話を膨らませちゃう傾向があります。ベンチャーキャピタルの皆さんはそういう大風呂敷に慣れっこですから、割り引いて考えるのが当たり前になっているんですよ。だから私どもが話したロードマップの予定通りにモノを出すと、凄く驚かれます。

──それが信頼に繋がっていくんですね。

そうですね。我々としては例えば1カ月の遅延でも大ごとだと思っているのに、「1〜2年遅れるとかザラですから」とびっくりされるんです(笑)。

弊社が事業としてやっていることに対してレバレッジをきかせて資金調達できているかというと、実はそんな事は無いと思います。うまくやっていたら、集めれるお金は更に一桁違うかも知れませんが、私どもは現状の計画で事業を計画に載せられると考えているので、それ以上は高望みしていません。

自分たちの「ストーリー」を進化させ続ける

──海外投資家からの資金調達にも成功されているとのことですが、海外投資家から資金を募る際の留意点等ありますか?

海外から資金調達する場合もポイントは変わりません。

ただ、「ビジネスが世界に向けて広がっている感」をアピールすることは当然ですが大事だと思います。正直、海外の投資家は目が肥えています。レベルの高いものを多く見ている。そういう意味では日本国内・海外問わず、資金調達の最中に自分のストーリーをブラッシュアップしていくことが不可欠です。

特にシード期のエンジェル探しはどこから手を付けたらいいのかも分からないじゃないですか。とりあえずFacebookの友達に「投資してくれる人、誰かいる?」と声をかけるところから始まったりしますよね(笑)。

そうすると「話を聞いてやってもいいよ」という人達がちょこちょこ出てくる。そういう人達の疑問を丹念にすくい取り、ファンになっていただく必要があると思います。

投資家の期待や要望になんでも応えろというのではなく、投資家の疑問に対して真摯に考え、やっつけの回答はしないことです。なぜなら、必ず彼らと同じ疑問を感じる人が今後も出てくるからです。それは10人に1人かもしれないし、30人に1人かもしれない。でも、必ず存在する。そういう人に向き合えるよう、質問を貰う度に自分のストーリーを磨き上げていくと、ソリッドな事業計画書が出来上がってきます。

シード期に資金調達をし始めた時のプレゼンと、最終的に資金調達を終えた時のプレゼンでは、ボリュームが十倍違っていても不思議はありません。

連載:起業家たちの「頭の中」
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文=小縣拓馬 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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