彼は掲示板サイトRedditの投稿で、退職についての意志を表明した。「コミュニティのみんなとシェアしたい悲しい報せがある」とミッチェルは現在の心境を伝えた。
「オキュラスとフェイスブックでの素晴らしい時間を過ごした後、自分はこの職場を離れることを決意した」
ミッチェルは退職の理由については触れず、オキュラスが2012に創立以降、いかに発展を遂げたかについて語った。
「僕らが2012年にキックスターターでキャンペーンを始めた頃、VRはSFの世界の出来事のように思われていた。プロジェクトが人々の関心を集められるか、2万5000ドルの目標額を達成できるかも分からなかった。でも、世界の仲間やコミュニティの力でVRを現実のものにすることが出来た。今ではVRが人々の暮らしを変えようとしている。みなさんの支援に感謝したい」──ネイト・ミッチェル、オキュラス共同創業者。
ミッチェルは最後までフェイスブックに残った、唯一のオキュラスの創業メンバーとなった。彼と一緒にオキュラスを創業し、CEOを務めたパーマー・ラッキーは2016年9月、ドナルド・トランプの支持団体をサポートしていたことで批判を浴び、翌年にフェイスブックを去っていた。さらに、もう一人の共同創業者のブレンダン・イリベも2018年、リフト2の発売キャンセルが報じられた後に会社を去った。
ただし、フェイスブックが買収した企業の幹部が同社を離れるのは珍しいことではない。実際のところ、同社が巨額を投じて傘下に収めたインスタグラムやオキュラス、ワッツアップの創業者らは現在では誰一人、会社に残っていないのが現実だ。
ミッチェルは退職後のプランを明らかにせず、しばらく自分のための時間を過ごしたいと述べたのみだった。彼はまた、今後のVR業界やフェイスブックの発展に期待すると話した。
「当面の間は旅をしながら家族との時間を過ごし、休息をとりたい」と彼は記した。「今でも自分はVRコミュニティの一員ではあるが、果たすべき役割は以前よりもずっと小さなものだ。今後はフェイスブックが素晴らしいイノベーションを生み出し、僕らを驚かせてくれることに期待したい」とミッチェルは語った。
フェイスブックは当初、オキュラスを20億ドル以下で買収する計画だったが、結果的に30億ドル近い費用を投じて2014年に買収した。それ以来、オキュラスはリフトやGo、リフトSなどのVRデバイスを市場に送り出した。また、今年5月に発売のオキュラス・クエストは、2週間で500万ドルのコンテンツ売上を達成していた。