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「ウィッシュ」のスマートフォンページ

スマートフォンのユーザーは増加していたが、それで買い物をする人々はまだほとんどいなかった。ゾルズースキーは、買い手のすべてのスクロールやタップを追う「グーグルの方法論」を応用すればいいのだと確信していた。

コンテクストロジックの噂を聞きつけたフェイスブックは、それを自社の広告システムに統合しようと、11年に2000万ドルを提示してきたが、ゾルズースキーは断った。彼はシステムを改良し続け、11年後半にはWishの前身となるWishwall.meを立ち上げる。彼とチャンはフェイスブックに広告を出し、人々を自社サイトに誘導し、Wishの商品を閲覧させた。Wishが売るわけではなかったが、訪問者は欲しいものリストを作ることができた。

「理屈抜きでハマる人もいた」と、ゾルズースキーは言う。サイト訪問者が浴用タオルなり自転車用スピードメーターなりをリストに入れると、無料のアイテムや値引きなどの報酬が得られたため、彼らはサイトを訪問し続けた。何万人ものユーザーを集めると、Wishはマッチングを開始した。

まず実際にイーベイやアマゾンに商品を出品している業者にメールを送り、買う気満々の人々を紹介すると約束する。よそでの売値より10〜20%値引きすることが条件だったが、当初は手数料も取らなかった。そして今度はユーザーにメールを送り、お好みの商品が今ならWishで安く手に入りますよと通知した。

GGVキャピタルの投資家ハンス・タンは、13年10月にゾルズースキーと面会したとき、あるヒートマップを見て衝撃を受けた。Wishの売り上げの大半はニューヨークやカリフォルニアではなく、フロリダやテキサス、あるいは米国の中西部から生みだされていたのだ。世界最大のECサイトになろうとしていたアリババ傘下の「タオバオ」との類似性を、タンは即座に見抜いた。

「Wishは中国を除く世界全体にとっての、モバイル版タオバオだったんだ」

販売業者との壮絶な闘い

16年、今度はアマゾンのある重役から創業者のジェフ・ベゾスに会いに来るよう連絡が入った。ゾルズースキーは会社を売るつもりはないと伝えた。

「だけど、それでもベゾスは会いたがったんだ」

Wishの売り上げは伸びていったが、品質管理上のトラブルもまた増加した。100万社もの登録業者を抱え、そのうち12万5000社が毎月出品していることを考えると、ある意味、避けられないことだ。ちなみにニューヨークのEC情報会社「マーケットプレース・パルス」によれば、アマゾンに出品している外部業者は推定250万社、ウォルマートは約2万1000社となっている。

文=パーミー・オルソン 写真=ジャメル・トッピン 翻訳=町田敦夫

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