米フォーブスが選ぶ世界の「ブロックチェーン50社」(後編)

IBM ジニ・ロメッティCEO


SEAGATE TECHNOLOGY(シーゲイト・テクノロジー)

拠点:クパチーノ、カリフォルニア州
ブロックチェーン・プラットフォーム:Hyperledger Fabric

1979年設立の外付けハードドライブの大手メーカー。IBMと開発を進めるのは、物流から使用期間中まで製品の追跡が可能になるブロックチェーン技術の概念実証だ。偽物のハードドライブが同社に返品され、誤って再販売されないようにするのが大きな目的。電子製品の偽造で同社は大きな被害を受けている。

SIEMENS(シーメンス)

拠点:ミュンヘン、ドイツ
ブロックチェーン・プラットフォーム:Ethereum、Hyperledger Fabric、Corda

電子機器から交通、医療、防衛、生産設備まで幅広く展開する、ドイツの巨大コングロマリット。同社は「ブルックリン・マイクログリット・プロジェクト」に取り組む。ブロックチェーン技術を使って、シーメンスの太陽光発電パネルを使うニューヨークのブルックリンの住人たちが、隣人同士で余剰電力を売買可能に。

SIGNATURE BANK(シグネチャー・バンク)

拠点:ニューヨーク
ブロックチェーン・プラットフォーム:A private、Ethereum-based blockchain

ニューヨークの中堅銀行、シグネチャー・バンクは、米連邦預金保険公社(FDIC)の保証を受けている銀行の中で、初めてブロックチェーンを基盤にしたデジタル支払いプラットフォームを開発した。「SignetTM」を使えば、同じ行内の商業顧客同士なら、最速5秒ほどで取引額の制限なく、一日中無料で安全に送金できる。

STATE FARM(ステートファーム)

拠点:ブルーミントン、イリノイ州
ブロックチェーン・プラットフォーム:Hyperledger Fabric、Corda、Quorum

1922年創業の米老舗大手保険会社。ブルーミントンにある同社のラボでは、11人のメンバーがブロックチェーン開発に専念。保険会社が契約者に保険金を支払い、さらにほかの保険会社から一部払い戻しを受けるという一連の保険請求手続きについて、スピードアップできるアプリケーション開発に挑んでいる。

UBS(UBS)

拠点:チューリッヒ、スイス
ブロックチェーン・プラットフォーム:Hyperledger Fabric、Ethereum、Quorum、Corda

資産規模でスイス最大、50カ国近くで展開する世界最大級の金融グループ。その最も野心的なプロジェクトは「ユーティリティ・セトルメント・コイン(USC)」。中央銀行がそれぞれの通貨の代わりにデジタルキャッシュを使い、相互に資金を移動できるようにする大胆な試み。BNYメロンやドイツ銀行なども参画。

VISA(ビザ)

拠点:サンフランシスコ
ブロックチェーン・プラットフォーム:Hyperledger Fabric

世界屈指のクレジットカードネットワークを有する同社は、リアルタイム決済システムから暗号通貨取引関連技術まで、50件のブロックチェーン特許を申請している。今年はブロックチェーンを使い、世界中の銀行で国境を越えた企業間取引の支払いが可能になる「B2B connect」プラットフォームを開設する。

VMWARE(ヴイエムウェア)

拠点:パロアルト、カリフォルニア州
ブロックチェーン・プラットフォーム:Project Concord(複数のフレームワークをサポートする新しいブロックチェーン)

創立20年を迎えた、クラウドベースサービスの開発と販売の企業。近々、デロイトとデルと共同で開発した「VMware Blockchain」というブロックチェーンとソフトウェアのセット製品を販売する予定だ。ブロックチェーンで安全にデータを送れる製品や、取引の有効性を検証するサービスなど。

WALMART(ウォルマート)


ダグ・マクミロン(ウォルマート)

拠点:ベントンビル、アーカンソー州
ブロックチェーン・プラットフォーム:Hyperledger Fabric

世界最大の売り上げを誇る小売業者。約50件のブロックチェーン関連の特許(製品出荷の追跡やドローンの運用など)を申請。ブロックチェーンを用いて、将来的に食の安全を損ないかねない問題を早急に発見したいと考えている。2016年にはビッグブルー(IBMの愛称)と組んで、現在50社以上が参加している「IBMフード・トラスト」をつくり出した。

今日、ウォルマートは5社の供給業者(今後さらに増える見込み)からのイチゴ、ヨーグルト、鶏肉を含む25製品を追跡することができる。2018年9月、同社はレタスとほうれん草の供給業者すべてに、ブロックチェーンに出荷状況を入力するよう求め始めると発表した。

前編

編集=マット・シフリン 報告=マイケル・デル・カスティリョ、ジェフ・カフリン、サラ・ハンセン、クリスティン・ストーラー、 アレックス・ナップ、ジョナサン・ポンチアーノ、エイミー・フェルドマン、カーステン・ストラウス、ローレン・デッター、レイチェル・ウォルフセン、ダーリン・ポラック

この記事は 「Forbes JAPAN 社会課題に挑む50の「切り札」」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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