だから、今、あなたの目の前にいる「痛い人」は、本当は未来の天才かもしれないし、ただのダメな人かもしれない。では、天才とダメな人を見分ける方法はあるのだろうか。
この問いに答えてくれたのが、『転職の思考法』『天才を殺す凡人』など、話題のベストセラーを生み出している北野唯我氏だ。北野は『天才を殺す凡人』で、「個々人の才能を見分けることで、どんな立場の人も過去最高の自分に出会える」と説いている。
「才能の見極め」は組織にとっても個人にとっても重要なテーマであるはず。詳しい話を聞いた。
──さっそくですが、「未来のイノベーター」と「本当にダメな人」の見分け方を教えてください。
それは「反発の量と質」で測れます。
例えば、未来のイノベーターであるAさんが提案した渾身のアイデアが「業界を覆すような破壊的なイノベーションの種」である場合、「狭くて深い支持が10〜30%程度」「広くて浅い反発が70〜90%程度」という反応にあいます。
対して、Bさんの出すアイデアが全員から賛成、あるいは全員から反対されるものばかりだった場合、そもそもそれはアイデアでさえありません。なぜなら全員から賛成されるものは既に世の中に存在しているものだからです。
──「狭くて深い支持」とはどのようなものなのでしょうか?
「情報感度と(そのアイデアが出た分野についての)理解度が高い人たち」からの熱烈な支持です。
ミドリムシ由来のバイオジェット燃料、バイオディーゼル燃料の研究開発などを行っているユーグレナという企業をご存知ですよね。2015年の第1回日本ベンチャー大賞にて「内閣総理大臣賞」を受賞したユーグレナですが、2007年の地点では、500社に対して営業しても全く出資してもらえず、倒産の危機に瀕していました。
しかし、雑誌でユーグレナの事業を知った伊藤忠商事の食品部門の担当者からのコンタクトをきっかけに息を吹き返したのです。この伊藤忠商事の担当者はきっとただの「勘」で動いたのではなく、情報感度と知識を持ち合わせていたはずです。
この場合、「狭くて深い支持」は0.2%以下でしたが、天才のアイデアは一部の優れた人の目に留まることで劇的な進化を遂げるのです。