テクノロジー

2019.08.26 15:30

米フォーブスが選ぶ世界の「ブロックチェーン50社」(前編)

世界の企業によるブロックチェーンへの支出の総額は飛躍的に伸びている。「様子見の時代は終わった」。そうグローバル企業の担当者は語る。

米Forbesが初めてリスト化した、同技術へ果敢に取り組む大企業50社を一挙掲載!



AMAZON(アマゾン)

拠点
:シアトル
ブロックチェーン・プラットフォーム
:Hyperledger Fabric、Ethereum(later in 2019)

アマゾン ウェブ サービス(AWS)は、分散台帳技術を使いたいという企業を支援するためブロックチェーンの開発ツールを提供している。アマゾンで最も利益率の高い事業であるクラウドコンピューティング分野において、自社の優位を維持するのに賢明な方法だ。2018年の営業利益は73億ドルであった。

同社のツールを使っているクラウドの顧客には、病院、保険会社、患者の間の支払管理を支援するチェンジ・ヘルスケア、ガーディアン生命保険、HRソフトウェア・プロバイダーであるワークデイ、証券保管振替機関のDTCCが含まれる。最近、ソニー・ミュージックエンタテインメントが顧客リストに名を連ねた。

ALLIANZ SE(アリアンツSE)


拠点:ミュンヘン、ドイツ
ブロックチェーン・プラットフォーム:Hyperledger Fabric、Corda

1890年に設立のドイツ最大の保険会社。世界70カ国以上で保険・金融サービスを提供、傘下に数多くの企業を抱える。さまざまな自社サービスへブロックチェーンの導入を試みており、例えば航空機遅延保険を販売している合弁会社では、スマートコントラクトにより航空機の遅延発生後すぐの保険金の支払いを実現。

ANHEUSER-BUSCH INBEV(アンハイザー・ブッシュ・インベブ)

拠点:ルーヴェン、ベルギー
ブロックチェーン・プラットフォーム:Ethereum、Corda

800年の歴史をもつ、ビール世界最大手。業界シェアは約3割。「バドワイザー」「コロナ」「ヒューガルデン」などのブランドを有する。サステナビリティ(持続可能性)の観点から、ブロックチェーンを用いて銀行口座を持たない人々へ金融サービスを提供するBanQuへ出資、貧困問題の解決に取り組んでいる。

ANT FINANCIAL(アント フィナンシャル)

拠点
:杭州市、中国
ブロックチェーン・プラットフォーム:Ant Blockchain

アント・フィナンシャルは中国アリババ集団傘下の金融会社。同社の開発した独自のブロックチェーン「Ant Blockchain」は、アリババが運営するECサイト「天猫(Tモール)」で販売されている製品をチェックするのに使われている。例えば顧客は、ダイヤモンドの供給先をアントワープの取引センターまでさかのぼり、等級、カット、研磨の記録を確認できる。

また2018年6月には、世界で10億人超のユーザーを抱えるアントの決済アプリ、アリペイがブロックチェーン基盤のサービスを開始。香港とフィリピンの個人間で、わずか数秒で送金できる手段を提供している。ブロックチェーン・スタートアップへの出資も。

BBVA(ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行)


拠点:ビルバオ、スペイン
ブロックチェーン・プラットフォーム:Hyperledger Fabric、Corda、public Ethereum

1857年創業、スペイン第2位の銀行。近年、フィンテック企業の買収に積極的に取り組む。2018年、スペインの送電網運営事業者であるレッド・エレクトリカ・コルポラシオンに対する1億5千万ユーロのシンジケート・ローンの取引を、世界で初めてブロックチェーンベースで実施。プロセスの大幅な迅速化に成功。

BITFURY(ビットフューリー)

拠点:アムステルダム、オランダ
ブロックチェーン・プラットフォーム:Exonum、Bitcoin

2011年創業、世界最大級のブロックチェーンテクノロジー企業。仮想通貨のマイニングやセキュリティ対策のためのハードウェアとソフトウェアを提供している。プライベートブロックチェーンのフレームワークであるExonumは、ジョージア(グルジア)政府の土地登記システムの構築に活用されている。

BNP PARIBAS(BNPパリバ)

拠点:パリ、フランス
ブロックチェーン・プラットフォーム:Corda, Hyperledger Fabric、Ethereum

150年を超える歴史をもつ世界有数の金融グループ。世界72の国と地域で約20万人の社員を抱える。2018年11月、同社はHSBCシンガポールの協力を得て、ブロックチェーン技術を用いた信用状取引を完了した。これまで紙で行われていた取引がデジタル化し、貿易金融の効率性と透明性の向上が期待される。

BP PLC(BP)

拠点:ロンドン、イギリス
ブロックチェーン・プラットフォーム:Ethereum、Cardano、Quorum

国際石油資本の一角を占める、英国を代表する世界最大級のエネルギーグループ企業。BPはブロックチェーン技術を用いた石油取引プラットフォームの「VAKT」に初期メンバーとして参加。契約や請求のような、従来紙で行われていた業務を効率化。同プラットフォームには英蘭シェルや米シェブロンも参加している。

BROADRIDGE(ブロードリッジ)

拠点:ニューヨーク
ブロックチェーン・プラットフォーム:Hyperledger Fabric、DAML、Quorum

米国の議決権代理行使と株主コミュニケーションのビジネスにおいて8割超のシェアをもつ。ブロードリッジは、その中核である議決権代理公使サービスを分散台帳に移行し、株主が株券を保管している銀行を通さずに、リアルタイムで企業の議決案や取締役について自らの議決権を行使できるようにしようとしている。
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編集=マット・シフリン 報告=マイケル・デル・カスティリョ、ジェフ・カフリン、サラ・ハンセン、クリスティン・ストーラー、 アレックス・ナップ、ジョナサン・ポンチアーノ、エイミー・フェルドマン、カーステン・ストラウス、ローレン・デッター、レイチェル・ウォルフセン、ダーリン・ポラック

この記事は 「Forbes JAPAN 社会課題に挑む50の「切り札」」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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