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2019.08.22

競争激化の「自動運転トラック」市場、米UPSがTuSimpleに出資

Kevork Djansezian / Getty Images

米国の貨物運送大手UPSは、サンディエゴ本拠の自動運転トラックのスタートアップ「TuSimple」に出資を行った。UPSは、輸送の安全性と効率性を高めることが出資の目的だとしている。

米国の大手貨物運送会社による自動運転トラック企業への出資は、今回が初めての事例だ。UPSは、TuSimpleのマイノリティ持分を取得する。TuSimpleは、米国以外に中国でも事業を展開している。両社とも出資金額を公表していない。

TuSimpleは、今年2月に9500万ドル(約100億円)を調達しており、評価額は10億ドルに達する。「今回調達した資金は、自動運転レベル4の商用トラック開発に充当する」と同社のCFO、Cheng Luは述べている。

TuSimpleは過去1年間、アリゾナ州でコンピュータやデジタルカメラ、レーダー、LiDARセンサー、独自ソフトウェアを搭載したセミトレーラーを使って貨物輸送を行い、既に収益化を実現している。同社を創業した侯暁迪(ホウ・シャオディ)は、カリフォルニア工科大学出身の神経科学者で、現在はプレジデント兼CTOを務めている。同社は、競合のウェイモをはじめ、EmbarkやKodiak、Starsky Roboticsといったシリコンバレー発のスタートアップに先駆けて自動運転トラックの商用化を目指している。

UPSの大口顧客であるアマゾンは今年、グーグルの自動運転車開発プロジェクトの元責任者が設立した「オーロラ」に出資し、輸送車にその技術を応用する計画だ。ソフトバンクが出資する「Nuro」は、TuSimpleのセミトレーラーよりもはるかに小さいロボット輸送車を開発している。

また、ウェイモは最近、自動運転トラックの実証実験をフェニックスで開始した。同社は、将来的に物流サービスが収益の柱になるとしている。このように貨物運送業界が進化する中、UPSは先端技術を導入するプレッシャーを感じていたとされる。
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編集=上田裕資

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