米AT&Tがネットフリックスの接続速度を制限、研究者が報告

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米国の大手通信キャリアのAT&TやTモバイルは、ネットフリックスなどのオンラインサービスを利用する顧客のネット接続スピードを、制限しているようだ。

マサチューセッツ大学アマースト校とノースイースタン大学の研究チームは米国で、2018年から2019年の間に65万回のネット接続テストを実施し、通信キャリアによる動画ストリーミングサービスへの帯域制限の実態を調査した。

その結果、AT&Tはネットフリックスへの接続回数の70%、ユーチューブへの74%について、接続制限を行っていたが、アマゾンプライム・ビデオについては無制限だった。一方でTモバイルはアマゾンプライム・ビデオへの接続の51%を制限していたが、スカイプは無制限で、Vimeoに関してはごく稀に制限を加えていた。

今回の調査は2018年1月から2019年1月に実施された。米国ではオバマ政権下でネット中立性規則が導入されたが、2018年6月に米連邦通信委員会(FCC)はこの規則の撤廃命令を出した。調査はネット中立性規則の廃止前と廃止後に実施された。

この論文は、通信とコンピュータネットワークに関して議論を行う国際会議SIGCOMMでの査読を待っている状態だ。

通信キャリアは一般的に、データ消費量の多い動画視聴が接続スピードの制限を招く可能性があると述べている。しかし、研究チームはこのようなデータ制限は転送量に関わらず、常に行われていると指摘した。

今回の研究にはアルファベットやアマゾン、ベライゾン、米国国立科学財団、フランスのARCEPらの資金が用いられた。研究の主導はノースイースタン大学准教授のDavid Choffnesが行った。

AT&Tはフォーブスに対して次のようなコメントを寄せた。「当社はオープンなインターネットの構築にコミットしており、特定のサイトのブロックやコンテンツの検閲を行わない。配信内容に基づいて、帯域に制限を加えることはない。当社は顧客に選択肢を提供し、データの管理権限を与えている。問題のアプリはユーザーの通信設定や通信プランを誤って伝えており、それが速度制限につながった可能性がある。当社はアプリ開発者に連絡をとり、パフォーマンス改善のための施策を協議中だ」

FCCが昨年、ネット中立性規則を撤廃して以降、米国の議員や専門家らは、通信キャリアのコンテンツの取り扱いの公平性に懸念を高めている。オバマ政権は2015年にネット中立性規則を導入し、通信キャリアに対して、全てのサイトに平等なアクセスを与えることを求めていた。しかし、トランプ政権はオバマの決定を覆した。

編集=上田裕資

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