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ラクスル株式会社取締役CMO/アドプラ事業本部長、田部正樹氏。

印刷・広告のシェアリングプラットフォーム「ラクスル」が、2018年よりテレビCM事業に乗り出していることをご存じだろうか。事業開始から1年半が経ち、すでに数百社のCMを手がけてきた同社が、クライアントに提供し続ける「勝ちパターン」とは


全国の提携印刷会社の非稼働時間を活用してサービスを展開するラクスルは、次に運送会社の空き時間を使用した「ハコベル」を展開。シェアリングエコノミーの手法による、需給ギャップを生かした低価格サービスは、消費者に受け入れられ、成長を遂げてきた。

そんなラクスルが、第三の事業として着目したのが広告だ。ミニマム料金で制作費30万円、放映料金20万円、計50万円からテレビCMを流せるという画期的なサービスである。

事業の責任者で、同社のマーケティング戦略を牽引する取締役CMO/アドプラ事業本部長の田部正樹氏は、事業スタートの背景を次のように説明する。「テレビCMを打ちたいという憧れを抱く企業は少なくありませんが、従来のやり方では単価的に難しい。ただ、金額さえ折り合いがつくならやってみたい、という企業の声が意外とあることに気づきました。そうであるなら、ビジネスになるだろうと考えたのです」。

WEBマーケティング全盛の時代、インターネット広告に企業の関心が集まり、テレビCMはどちらかといえば、影が薄くなってしまったようにも思える。しかし、田部氏はそうは考えなかった。

「テレビは、依然として価値が高いメディアであり、考えてみれば、テレビの普及台数はスマホよりも多い。つまり、今でもメガ・メディアです。テレビCMはいまだ大きな可能性を秘めています」

そう言い切るのには、理由があった。それは、ラクスル自身がテレビCMに思い切った投資をすることで、業績を急拡大させてきたのである。

この5年にわたり、ラクスルが投じたテレビCMを中心とした広告宣伝費用は、およそ50億円。その効果によって、売り上げは約20倍にも伸びたのだった。


ラクスルは約50億円を投下し、テレビCMを介して認知度を約60%にまで上げた。認知度の上昇は売り上げにも跳ね返ってきている。

「特にスタートアップは、商品やサービスを知ってもらわなければなりませんし、知名度を上げながら売り上げを作っていく必要があります。私たちにとって、テレビCMは、きわめて効果的な成長手段だったのです」(田部氏)

A/Bテストで「勝ちパターン」を見出す  

テレビCM事業において、ラクスルが意識しているのは、クライアントの成長支援を有効に進めることだ。そのため、効果測定に力を入れる。具体的にはWEBマーケティングの手法である「A/Bテスト」を実施し、より効果の上がるクリエイティブを検証して、放映するのである。

「要は、ビジュアルやコピーのワーディングが異なる2種類のCMを制作して、どちらが有効かを検証し、勝ちパターンを見出していくのです」(田部氏)  

一例を挙げよう。WEBで注文を受ける宅配クリーニングを事業化したホワイトプラス(宅配クリーニングの「リネット」を運営)のCM制作について、「A=クリーニングに行くのは荷物が多くて大変」「B=クリーニングに行く時間が忙しくてない」という2種類のメッセージで、それぞれCMを制作した。2つのメッセージは似てはいるが、放映してみると、「A=行くのは大変」のほうが、結果が良かった。

さらに、放映する番組についても、ニュース番組では伸びず、主婦層をターゲットとした昼のバラエティ番組でグンと伸びることがわかった。

「このようにして、クリエイティブの勝ちパターンと、放映の勝ちパターンが見えました。そして、CM放映によって、初めてリネットを利用する、新規登録の会員数が急速に増えていったのです」(同氏)

一方、CMの常道ともいうべき、タレントを使った制作でも実績がある。

「人事評価クラウドを展開するHRブレインの場合は、新しい概念のサービスであることから、タレントを起用したCMで認知を上げることを考えました。やってみると、サービスを利用するユーザーに効用を語ってもらうというパターンに比べ、タレントの訴求力が上回ったのです。同時に、テレビだけではなく、タクシーの車中で流れるタクシー・アドも活用するという勝ちパターンも見つかりました」(同氏)

このように、単にクライアントの要望に合わせてCMを制作して放映するのではなく、クライアントの事業やサービスが、どのような顧客の課題を解決するものなのか、その本質を捉えて、マーケティングの観点からの提案をし、並走する。そこに、ラクスルのCM事業の大きな特徴がある。

廉価での制作が可能であること。効果が見えること。この顧客メリットによって、多くのクライアントの心をつかんだ。事業スタートから約1年半で、制作・放映したCMは数百本を数える。

「広告業界の中でシェアを取るのではなく、初めてのテレビCMのお客様にフォーカスすることで市場を盛り上げていく存在になりたいと考えています」(同氏)

新たに始まったテレビCM事業。田部氏は、確かな手応えを感じているようだ。

ラクスル流メソッドを提供!

「我々はテレビCMに『クリエイティブの面白さ』だけを追求することはしません。『効果を出す』ということに焦点を当てているのです」(田部氏)

ターゲット層により響くコピーは何か。目に留まりやすい時間帯や番組はあるのか。タレントの起用や放映期間によって影響力はどう変わるのか。メソッドはすべて、自社の経験に基づいている。

「我々もお金を払ってテレビCMを作り、自社で効果測定をしっかり行ってきました。自分たちも成長過程で行ってきたことだからこそ、クライアントに寄り添える部分がある。培ってきたノウハウを提供することで、マーケティングにおけるコンサル的機能も果たしてきたいと考えています」(同氏)




地方で行ったA/Bテストでは「A=これだけ刷っても1万円」と「B=1枚1.1円から」ならBのほうが効果的という結果が出たため、全国放映版にはBパターンを採用した。また、「送料無料」「当日出荷」「3分で注文完了」など、顧客のメリットになるコピーも重要。


田部正樹◎ラクスル株式会社取締役CMO/アドプラ事業本部長。1980年生まれ。中央大学卒業後、丸井グループに入社。主に広報・宣伝活動などに従事。2007年テイクアンドギヴ・ニーズ入社。営業企画、事業戦略、マーケティングを担当し、事業戦略室長、マーケティング部長などを歴任。14年8月にラクスルに入社。マーケティング部長を経て、16年10月から現職。

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Promoted by ラクスル / text by Toshihiko Masugi / photographs by OGATA / edit by Miki Chigira

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