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2019.08.25 15:00

元スカイプジャパン社長が新たなステージに挑む時、お守りにした時計

タグ・ホイヤーのカレラ

岩田さんは、仕事柄、最先端の機能を最優先にモノを選んでるのだと思いきや、愛用の腕時計は長く使えるものを念頭に選んだのだという。

「持っている腕時計は“タグ・ホイヤーのカレラ”です。もともと子供の頃から高級時計への憧れがありました。仕事柄、パソコンなどは最新のものが必要なので、常にアップグレードしていることもあってか、時計はどうしても価値の下がらないものが欲しくなったのです。スマートウォッチなどは新作が登場するごとに、従来モデルの価値は相対的に下がり、常に買い替えが必要ですし」



愛用のカレラは、ヨーロッパの投資会社「ATOMICO」のパートナーになった2012年の夏休みに、ハワイで購入している。「スカイプで日本の代表を7年ほどやらせていただいて、それも区切りがついて、さあ、次は何をしようかな? と思っていた頃に、スカイプ創業者のニクラス・ゼンストロームからベンチャーキャピタルをやるので手伝わないか、というオファーをもらったんです。

スカイプを日本に広めた時と同じように、日本でのことを任せたい、と。責任の重さに悩みましたが、スカイプで世話になった恩返しの気持ちと、投資に興味があったので取り組むことに決めました。オファーを受け、稼働する前の休暇を過ごしたハワイで、改めて“大変な仕事を引き受けた”ことを考えながら、新しいステージに挑むにあたってお守りの意味を込めてハワイで購入しました」

そして、その腕時計は「いずれ息子に譲ろう」と思っているそうだ。腕時計は常に身につけているので、父親がこの時計とともに仕事をしていたという想い出も含めて「継承したい」のだという。

「自分には父親から受け継いだ形見のようなものがないので、その思いが強いのかもしれません」

そんな岩田さんは今年、プログラマー起業家に特化した投資ファンド「ミレイズ」を立ち上げている。なぜ、プログラマーに限定したのか?

「シリコンバレーやヨーロッパでは、プログラマーが起業するケースが多いのですが、一方、現在の日本ではプログラマーの性質やプログラマー独自の発想法を理解し、評価する投資家がまだ少ないと感じていたからです」

最新のテクノロジーを知り、かつプログラマーが置かれている環境や彼らの思考に精通した、岩田さんのような存在が求められるフィールドがそこにあった。「ミレイズ」を礎に、日本にまた新たに魅力的な会社が設立されるのを期待したい。
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Text by Ryoji Fukutome / Photographs by Kazuya Aoki

この記事は 「Forbes JAPAN 社会課題に挑む50の「切り札」」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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