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2019.08.20

米ミレニアル世代を魅了したいケイト・スペード、戦略は適切か?

Gettyimages


「若年層」と「低価格」を重視
タペストリーの一員となったケイト・スペードは、姉妹ブランドとなったコーチ、スチュアート・ワイツマンと同様に、ターゲットを若年の消費者層に絞った。

だが、結局のところはこれが、ケイト・スペードにとっての障害になった可能性がある。同ブランドが立ち上げられたのは1993年。つまり最初の顧客はベビーブーマー世代とX世代の女性たちだ。

これらの世代を当初のターゲットとしてきたその他の多くのブランドと同じように、ケイト・スペードは次のミレニアル世代との間に有意義なつながりを築くことができなかったのかもしれない。消費者からの最も重要なフィードバックは、売上高だ。その点からみて、同ブランドは北米では競争に負けている。

先ごろの決算発表で主に話題にされたのは、アウトレット店で扱う商品の品ぞろえの最適化だった。213ある北米の店舗のうち、100店舗がアウトレット店だ。しかし、高級ブランドは本来、割引戦略を基本とするものではない。アウトレット事業に力を入れすぎれば、主客転倒の状態を招くのではないだろうか。そしてそれは、消費者があこがれる高級ブランドとしての成長を目指すブランドにとって、災いとなりかねない。

ケイト・スペードは世界で最も重要な高級品市場である米国において、事業を活性化させる必要がある。そして、成長を目指のであれば、中国本土を重視するべきだ。ただ、少なくとも短期的には、中国市場に過度に依存することは危険を伴う可能性がある。米中間の貿易戦争と香港の抗議活動、中国人観光客の減少の影響は全て、現在の市場が抱える重大な不確定要素だ。

タペストリーは、2020年度のケイト・スペードの売り上げを後押しするものになることを見込んで、インフルエンサーマーケティングを採用する方針だという。近くそのインフルエンサーたちを発表するもようだ。

そうしたデジタル戦略が、米国のミレニアル世代の関心を引くものになることを期待したい。結果は、時がたてば明らかになる。

編集=木内涼子

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