米レストランが売り出した「一生パスタ定期券」 500ドルは妥当か?

オリーブ・ガーデン・レストランのパスタ Gettyimages

有名イタリアンレストランの全国チェーン店で、「5万円で、死ぬまでパスタを無料で食べさせます」という一生定期券が発売されたら、皆さんは購入するだろうか?

36年の業歴を持ち、全米に900店舗を構えるオリーブ・ガーデン・レストランは、ボリュームが多いことと、パスタを頼むと無料の特大サラダ(おかわり自由)がついてくるのでとても人気の店だ。

このチェーンは、100ドルで数カ月の間、いつでもどこの店でも無料で好きなだけパスタが食べられるという「パスタ定期券」を売ることでも有名だったが、今回は、新たな試みとして、500ドルでの「一生パスタ定期券」を売り出した。

会社側も、明らかに赤字を見込んでいるので、先着50名のみのいわばイベント企画だが、この会社はこの手の定期券を、これまでも手を変え品を変え出してきているので、この「一生パスタ定期券」も、金額をアップするかメニューに制限を設けるかなどで、来年以降も売られるだろうと、ファンの話題を集めている。


オリーブ・ガーデン・レストラン by shutterstock

発売開始後、数秒で売り切れ

本当に食べ放題なのかはとても気になるところだが、まず飲み物やデザートなどは別料金で、定期券所有者本人のパスタのみが無料となる。しかし、店のウェブサイトを見にいくと、さまざまなパスタを自由に組み合わせることができるので、飽きることなく、長い期間楽しめそうだ。

期間限定の「パスタ定期券」のほうは、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、一緒に来店する同伴者やパスタ以外の食べ物の注文などによって、売り上げ倍増効果は充分なようだ。去年は1万3000枚、今年は1万4000枚の定期券が発行され、いずれもオンラインで、発売開始後、秒速で売り切れたという人気ぶりだ。

オリーブ・ガーデンを保有しているダーデン・レストラン社は上場会社だが、2019年の間に20%も株価を上げており、この手のユニークなマーケティング手法が市場でも評価されているのがわかる。

実は、アメリカには、このような食べ放題の企画はかなりある。筆者のいるラスベガスでは、もともとカジノホテル内にあるビュッフェが食べ放題で有名だが、それ以外にも、寿司の食べ放題や焼肉の食べ放題の店などがこの手の文化としてとてもよく根付いている。(一方、日本でよくある「飲み放題」という宴会パッケージはまず見かけない。)。

しかし、食べ放題の定期券も、一生ということになると、その計算根拠はどうするのだろうかとても気になるところだ。いったいどんなデータベースを使って、どういう統計処理をして、定期券の値段を決めているのか、想像もつかない。
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文=長野慶太

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