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(写真左から)日本シングルマザー支援協会代表理事・江成道子、デジサーチアンドアドバタイジング代表取締役・黒越誠治、SIIFシニアオフィサー・菅野文美

削減した行政コストではなく、増えた税収に連動した報酬を出資者に分配する──官民がより経済的に連携できる「進化したソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)」。その研究調査事業の実施が、2019年4月に発表された。

対象は、自立したいシングルマザーの起業支援事業。全国から選抜した3名に、3カ月間のアクセラレーションプログラムで「WEBメディア事業」の起業に必要なスキルと知見を伝授。事業資金1000万円を給付し、起業後2年間は、ハンズオンで支援。新たな官民連携の知見を得たい静岡市も協力し、世界初の金融スキーム「アップサイドSIB」を研究する。

SIBは、社会的インパクト投資の手法のひとつ。行政から委託された事業者が調達した民間資金で社会課題を解決。医療費や児童養護施設の経費等、削減された行政コストに連動した報酬が分配される。

アップサイドSIBでは、行政コストが削減できる事業ではなく、税収の増加が見込まれる事業が対象。シングルマザーの起業で増えた納税額など、税収の増加分に応じた成果報酬を分配する仕組みだ。

「起業したいシングルマザーがいても、困っている人々を平等に救わなければいけない行政は支援できない。一方、ベンチャー投資や融資に必要な与信も得にくい。アップサイドSIBで、既存の行政や金融の仕組みでは手を差し伸べられなかった人たちが活躍できる環境をつくりたい」

そう話すのは、事業の発案者・デジサーチアンドアドバタイジング代表取締役の黒越誠治。14年の着想以来、本業の老舗の企業再生・起業家支援と並行し、SIBを研究開発。国内初のSIB組成に共に参画した社会的投資推進財団(SIIF)、静岡市、日本シングルマザー支援協会(代表理事・江成道子)を巻き込み、5年で実施にこぎつけた。

「社会的投資でさえまだ手が届いていないが、金融の力が必要な領域がある。経済的リターンも十分見込めるアップサイドSIBで意思ある投資家を巻き込み、新しいお金の流れをつくりたい」(SIIFシニアオフィサー菅野文美)

今後は入院患者のネット起業支援等、アップサイドSIBの対象拡大を目論む。

文=フォーブス ジャパン編集部 写真=ヤン・ブース

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