72%の作業代替を実現。宇宙用の作業代行ロボット、開発元が約4.4億円の資金調達

GITAIが開発する宇宙⽤作業代替ロボット


人間の“能力”ではなく“移動”に課題を見出した

GITAIは2016年7月の設立。CEOを務める中ノ瀬は過去にインドで起業し、Exitの経験を持つ人物。当初は「身体の拡張」を目指し、VR(仮想現実)とロボットを用いたヒューマノイドテレプレゼンスを開発していたが、途中で宇宙⽤作業代替ロボットへ事業内容を少しピボットした。その経緯について、中ノ瀬はこう語る。

「金額もかかるし、時間もかかる。最初は宇宙で展開するものではないと考え、災害救助や遠隔医療での活用を考えていました。ただ各マーケットの数字を見たり、現場に行って話を聞いたりする中で、最も課題が大きく、緊急で求められている。なおかつ10年後に最も大きな市場となっているのは“宇宙”だったんです」

昨今、宇宙での作業ニーズは増えているが、作業できるのは人間しかいない。一方、地上ではAIを搭載した汎用型ロボットの開発が世界的に進められているが、中ノ瀬は「地上において喫緊のニーズがあるわけではない」と言う。


GITAI CEOの中ノ瀬 翔

「地上のニーズとして多いのは400万かかっている人件費を少し減らしたい、というもの。別に遠隔操作ロボットがなくてもいいんです」

また、ビジネス的な観点からも地上における汎用型ロボットの開発は「割に合わない」と感じたという。

「現状のロボットが原価が数千万かかるにも関わらず、できることは少ない。人間に比較しうたら、圧倒的に割に合わない解決策なんです。地上ではロボットを“人件費を削る”ための手段として見ていますが、人件費を減らしたところで数百万。でも原価で数千万円かかっている。これではビジネスになりません。

個人的にロボットは人件費を減らすためのものではない、と思っています。だからこそ、宇宙のように交通費が異常に高い業界で、人間が行かなくてもいいようにロボットの技術を使う。人間の“能力”ではなく“移動”に課題の焦点を当てて、移動回数を減らす、移動のコストを減らす。そのためにロボットの技術を使う方がビジネスになると思いました」

とはいえ、スタートアップが“宇宙”という長いスパンの事業に取り組むのは簡単ではない。どうやって長期的にビジネスを持続するのか、そして投資家からの信頼を得るのか。いろいろなことを検討しなければならない。
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文=新國翔大 写真=小田駿一

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