そう話すのは、起業家の荻原国啓だ。2018年11月に設立した一般社団法人「ソーシャルアントレプレナーズアソシエーション」(SEA)の代表理事を務める。
SEAは、社会起業経験者が次世代の社会起業家を支援する組織だ。荻原自身、「世の中から不を取り除く」という理念のもと、企業向けメンタルヘルス支援を行うピースマインドを大学時代に創業。社会性と事業性を高次元で両立させるべく、葛藤を繰り返しながら20年近く経営に携わり、ゼロから市場を創出した経験を持つ。
「ソーシャルアントレプレナーが市民権を得た今、彼らを支えるエンジェル投資家やアクセラレーターは増えている。だが、社会起業経験をベースに“生々しい”実行支援をする人はほぼいない」(荻原)
SEAがミッションに掲げるのは、起業家の経験やノウハウが循環する「社会起業コミュニティ」の創造だ。メンバーにはゼネラルパートナーズ創業者で共同代表の進藤均やジョブダイレクト創業者の松本淳、NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹など、幅広い業界のインパクト起業家たちが名を連ねる。
具体的な活動は3つだ。
1つは、社会起業経験が豊富なメンター陣による、実践的なアドバイスや精神的なサポートによる経営の伴走支援。2つ目が、シード投資を中心とした資金面での支援だ。SEAが運営するファンドのほか、メンター陣も随時出資する。3つ目が、社会起業家の相互支援型コミュニティを提供すること。次世代のインパクト起業家を主軸に、メンター陣や、財務やマーケティングといった各分野のプロフェッショナル陣が集う。
「実践者が増えているからこそ、社会起業経験者がペイフォワードで、次世代の社会起業家を支援することが重要になる。新たな挑戦は必ず、次の社会インパクトを生む。ここで育った起業家たちが次世代をサポートする流れをつくり、社会起業家の健全なエコシステムを確立したい」