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原田:とはいえ、眠りを自分で認識するのはすごく難しいですよね。何せ寝てしまっているわけですから(笑)。美味しいご飯食べると美味しいと思えるが、良い眠りをするとその瞬間は寝て意識がないので、全くわからない。

小林:人は意識がある時に経験した事に価値を感じるため、無意識の状態の重要性を社会全体に尊重してもらうのは難しいことです。しかし、睡眠をないがしろにすると、短期的にはうつ病や免疫力低下などの健康状態の悪化、中長期的には糖尿病やがん、認知症などを発症しやすくなることが分かっています。会社が、見えないからといって睡眠を犠牲にすることは、従業員の人生を蝕んでいると考えるべきでしょう。

無意識を可視化し、価値を見出す

原田:睡眠は意識がないゆえに犠牲になりすぎている。一番忘れられた欲求だと思います。意識を失っているからこそ、重要視しなければいけない。ニューロスペースが睡眠習慣デザインプログラムを提供しているのも、睡眠を可視化するためですよね。

小林:そうです。自分の睡眠を毎日自然と測れて、正確に可視化できる製品を提供しています。現在、日本だけでも4000万人近い方が睡眠に関した悩みを抱えていて、気づかないうちにうつ病や不眠症といった病気になっていたりするんです。

自身の睡眠を正しく可視化し、セルフケアしていけるような生活の工夫と根本的な仕組みが必要であり、会社としても従業員の生活の工夫への配慮はできるはずです。病気になる前に可視化し、互いに解決することは、世の中の睡眠問題を解決するために重要です。

原田:ひょっとしたら「よく眠れてる?」は、逆に部下から上司へ、聞いてもいいかもしれませんね。お互いに尋ね合えるチームというのは、結果的に生産性も高い。「Good Sleep, Good Team」という言葉に全てが集約されますね。

これ以上、労働力を投入しても、生産性は上がらない。睡眠がきちんと取れているか、家で食事がとれているか、早く帰って大切な人と過ごせているどうかに注目する時代がきていますね。

小林:眠りの質によって脳の扁桃体に影響し、性格にも影響をもたらすことが分かっています。眠りの状況で脳が変わり、性格や思考、行動や習慣が変わるというループになっており、その集合体が今の社会を作っているのです。だからこそ、眠れているかどうかというコミュニケーションを社内で取ることはとても大切です。資本主義社会にいる以上、働かないということはできない。その中で、睡眠への声がけは、社会を大きく変えていくだろうと思います。

原田:仕入れがなければ、商品ができません。では、知的労働者にとって「仕入れ」とは何かを考える時です。睡眠時間はもちろん、インプットの時間を確保し、その質を上げるのが重要です。自分の会社にいない種類の人と出会い、本を読むという「会社の外での活動」を大事にしたい。その中で睡眠をはじめ、人間としての幸せについて考えることが、未来のビジネスに繋がっていくと信じています。

文=大竹初奈 編集・写真=新國翔大

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