ビジネス

2019.08.19

中国アリババが買収狙う「越境EC」大手の巨大なポテンシャル

Frederic Legrand - COMEO / shutterstock.com

中国のアリババがゲーム大手のネットイース(網易)傘下の越境ECサイト「コアラ(Kaola、考拉)」を、20億ドル(約2130億円)で買収する見通しだと現地の経済メディア「財新」が報道した。

財新は関係筋から得た情報としてこのニュースを伝えている。ネットイースが運営するコアラは現在、世界80カ国の9000ブランドのアイテムを中国の消費者に届けている。同社は中国の越境EC市場の27.7%を握り、アリババの市場シェア25%を上回っている。

この買収はアリババとネットイースの双方のメリットになり得る。コアラは業績を拡大中だが、越境EC分野では競争が激化している。調査企業iiMediaのデータでは、中国の越境EC市場は2020年末には12兆7000億ドル規模に拡大する見通しだ。

しかし、中国政府によるゲーム規制の強化により、ネットイースは本業のゲーム部門で利益を出せずにいる。「越境EC市場は巨大な伸びが期待できるが、コアラが今後もスケールを拡大させるためには、リソースが必要だ。価格に折り合いがつけば、ネットイースがコアラを売却するのは悪い選択ではない」とiiMediaのアナリストは述べた。

アリババとネットイースは買収の報道についてコメントを避けた。アリババは今年4月から6月の四半期決算で42%の売上増を報告したが、今後の成長に海外ブランドの取り込みは欠かせない。アリババは6月に新たな海外企業向けの英語版サイトを立ち上げ、中国のミドルクラスの消費者向けのアクセスを高める施策を行った。

アリババ創業者のジャック・マーは以前、2025年までに売上の半分を海外からにしたいと宣言していた。

「コアラの買収によりアリババはこの分野での覇権を強固にできる。米中間の緊張の高まりや景気減速の中においても、中国消費者の海外ブランドに対する関心は衰えていない」とiiMediaの担当者は述べた。

編集=上田裕資

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