私が創業したコンサルティング企業「リーダーシップIQ(Leadership IQ)」が行ったアンケート調査「Why New Hires Fail(新入社員はなぜ失敗するのか)」では、新たに入社した従業員の46%が、採用から18カ月以内に失敗することが示されている。こうした採用ミスの大きな要因の一つは、候補者が面接を操作できる有利な状態に置かれていることにある。
これは厳密に言うとカンニングではない。しかし現代の求職者には、面接で一般的に尋ねられる質問について調べる機会が豊富にある。「面接で良い結果を出す方法」に関する本や学習プログラム、「特に頻繁に尋ねられる面接での質問」に関するグーグル検索などを通し、ほとんどの企業が面接で尋ねる質問に対し、優秀な人材であるかのような印象を与える回答を事前に準備・練習する機会が豊富に用意されているのだ。
必要なのは、その場で考えさせる質問
人材を必要とする管理職は、面接で尋ねる質問をより賢く考えなければならない。一般的によく聞かれる質問を、効果的な質問だと思うことはやめよう。悪い質問を一掃したら、今度は候補者に考えることを強いる良い質問をすべきだ。入念に練習した答えをスラスラと述べさせるよりも、その場で考えて答えるよう候補者に負荷をかけることで、真実に基づいた答えを引き出せる確率が大きく高まる。
候補者と会社の合致度を明らかにするには、会社にとって特に重要な勤務姿勢を候補者が持ち合わせているかどうかを知るための質問が必要だ。先述の調査では、新入社員が失敗する原因は89%の場合、態度(指導のしやすさや心の知能指数/EQ、モチベーション、気質)にあることが分かっている。スキルを基にした雇用は重要だが、スキル不足により新入社員が失敗したケースはわずか11%だ。大半の企業はすでにスキルを基にした採用方法を理解しているため、焦点を当てるべきは態度だ。
候補者がどのような態度を取るかについて真実を明らかにするためには、特に一般的な3つの質問「あなたのことについて教えてください」「強みは何ですか?」「弱みは何ですか?」はすぐに消える。この3つの質問は求職者にとてもよく知られているだけでなく、それぞれ事前に答えを考え、言葉にしておくことが非常に楽にできる。こうしてあらかじめ用意された答えは、必ずしも真実に基づいているとは限らない。