さて、気になるスペックを簡単に紹介しよう。ホンダジェットは、乗員を含む最大7人乗り(パイロット1人乗客6人またはパイロット2人乗客5人)。ライバルのセスナより室内は広いものの、キャビンの全高が142cmなので、180cm以上の人はトイレに行くのに少し苦労する。
最大運用高度は1万3千メートルだから、一般のエアラインが飛ぶ1万メートルより高く飛行できる。最速巡航速度は782km/h、しかも一番重要な航続距離は2265kmになっている。同プロジェクトの開始は1986年だが、ホンダジェットの初テスト飛行は2003年12月であり、市販機の初飛行は2014年だった。
ホンダは、2018年8月に490万ドル(約5億2千万円)でデリバリーを開始し、世界65か国で130機以上が運用しているという。航続距離がより長く、室内の質感が向上した「ホンダジェット・エリート」が今年発売になったが、価格は5億6千万円。ホンダによると、今現在、週1機のペースで納品しており、需要が供給を上回っているという。
いつも仕事でホンダの新車を試乗している僕から見ると、ホンダはユニークな存在だ。ビジネスジェット機で世界一である他に、オートバイも製造しているし、芝刈機のシェアでも世界一、発電機、除雪機、小型耕うん機では日本一。他のカーメーカーがどんどん互いにタイアップし共同開発を行なっているにも関わらず、ホンダはロボットも含めた広い範囲の商品づくりをしているからこそ、個性を保っていられるのだと思う。
ホンダジェットの開発に投資した額は10億ドルだが、今のペースだと来年いっぱいには元が取れる可能性があるらしい。
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