VRの次は? リアルとバーチャルを融合させることが可能な「XR」の可能性

エンハンス代表 水口哲也


XRは現実世界をも凌駕するクオリティを実現する?

武田:水口さんは、XRの世界があと10年以内にやってくると予想していますが、どのようなことができるようになるのでしょうか。

水口:時間と空間の制約がなくなることはお話しましたが、具体的にイメージが付きにくいかもしれませんね。たとえば、今、ここで私と武田さんの対談を行っていますが、対談をしている2名だけでなく、カメラマンさん、ライターさん、スタッフの方など、皆がこの対談のために何時間も前から準備して、この場所に集まっていますよね?

武田:はい。私は1時間前にオフィスを出て、服や髪を整えて、ここに向かいました。

水口:皆さんの移動時間を合わせると、かなりのコストがかかっていますね。このコストが無駄ではないことを祈りますが(笑)、解像度が上がって、体験になっていけば、おそらくこのインタビューもわざわざ集まる必要もなくなるでしょう。

武田:別の場所にいても、今と同じような状況で会話ができるということですか?

水口:そうです。僕がアメリカのオフィスにいて、武田さんが大阪にいて、ライターさんが東京にいても、今と全く同じような環境で対談ができる日は、そう遠くない将来にやって来ます。

武田:つまり、みんながどこにいても、この場所にアクセスできるのですね。人間が、今まで逃れられなかった、時間と場所の制約から解放される、と。でも、人間同士が会わないと伝わらないことは多々あります。一時期、チャットを使ったリモートワークがもてはやされ、次々に導入されました。数年間運用した後、結局「会って話した方がいいよね」となり、復旧している会社も多々あります。VRはそれを超えることができるのでしょうか。

水口:解像度が足りないから、気持ちの交換とか、感情が伝わらないわけです。確かに実際に人に会うというのは、大事なことです。しかし、XR技術は今後、現実と同じクオリティを実現することができるでしょう。微妙な表情、息遣いなどその人が目の前にいる状況を再現できるのです。さらに、場所も好きに選ぶことができる。例えば、ミーティング性質別に、背景を選ぶことができるのです。例えば、自由にリラックスして意見を出しあいたいときは、ハワイのビーチにすることもできるのです。
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文=武田隆

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