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2019.08.16

消費者のスーパー離れ、対策のカギは「商品陳列の大幅改革」

1000 Words / shutterstock.com

カナダ紙『ファイナンシャル・ポスト(Financial Post)』によれば、フード界のビジョナリーでレストラン経営者のデイヴィッド・チャン(David Chang)は、「スーパーマーケットからエスニックフード売り場をなくしたい」のだという。そして、「何もかもをひとつにまとめ、どこの国のソースやスパイスであろうと、すべてスパイス売り場に集結させるようスーパーマーケットに訴えている」

現在のエスニックフード売り場は「時代遅れでつまらない」とチャンは主張する。その理由は、「"白人たちのアメリカ"に当てはまらない世界の国々を全部、ひとつの売り場に集めているから」だ。

一方、肉が入っていない植物由来バーガーを製造する「ミートレス・ファーム・カンパニー(Meatless Farm Company)」の創業者モーテン・トフト・ベック(Morten Toft Bech)は、スーパーマーケットはそろそろ、精肉売り場という名称を「プロテイン売り場」に改めるべきだと話す。

また、食物由来バーガーを製造するビヨンド・ミートはかねてから、アメリカ各地のスーパーマーケットで、自社製品を精肉用パッケージに入れて販売している。そうやって、牛肉や豚肉、鶏肉、七面鳥を購入するであろう買い物客の関心を引きつけているのだ。

つまり、現在のスーパーマーケットの商品陳列デザインは、消費者の食生活の傾向や、買い物時の要望と足並みが揃っていない。

学術誌『米国科学アカデミー紀要』で発表された研究「Buying Time Promotes Happiness(時間を買えば幸福感が増す)」で、「全世界では、富の増加によって、時間が足りないという感覚の高まりという、予期せぬ結果が生じている」ことが明らかになっている。この研究では、アメリカを含む4か国で、時間が節約できる有料サービスを利用した人々が、人生の満足感と幸福感が高まったと申告したことが明らかになった。

インスタカート(Instacart)、シプト(Shipt)、ドアダッシュ(DoorDash)、ウーバーイーツ(Uber Eats)をはじめとする多くの食品宅配サービス会社は、時間の節約を保証することで、巨大な顧客基盤を築いてきた。食料品販売業界の大半は、そうしたサービスはどこも儲からないと言いながらも、顧客の要望に応えるために食品宅配サービスを提供する必要にかられている。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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