日本の措置が招いた韓国の不買運動、ユニクロにも打撃

柳井正氏(Photo by Julien Hekimian/Getty Images)

スマートなカジュアルウェアを手ごろな価格で提供するユニクロにとって、韓国では一つだけ問題がある。それは、韓国ユニクロの運営会社の株式のうち、51%を親会社である日本のファーストリテイリングが保有していることだ。

ファーストリテイリング株の44%は、日本のビリオネア(保有資産10億ドル以上)、柳井正とその家族が保有する。

また、韓国ユニクロの運営会社の残り49%の株式は、多くの高級ブランドを取り扱う百貨店やディスカウントショップを展開する韓国の小売大手、ロッテグループが保有している。だが、同グループのルーツは日本にある。

日本が韓国にとって重要な製品の輸出を制限したことをきっかけに高まった反日感情と日本製品に対する不買運動は、韓国に190店舗を持つユニクロにも打撃を与えている。

日本による輸出制限は、韓国の裁判所が示した判断への報復措置とみられている。第2次世界大戦中に韓国人を労働力として動員し、賃金も支払わずに奴隷労働を強いた日本企業に対し、裁判所は「徴用工」とその家族への賠償責任があると認めた。

不買運動は「当然」?

若者たちでにぎわうソウルの明洞地区にある韓国最大のユニクロの店舗はこのところ、ひっそりとしている。行列ができていることが多かったレジの前にも、客の姿は見られない。店の外で、誰かがユニクロで買い物をするなと訴えているわけではないが、頻繁にこの店を訪れていたというある女性は、次のように語った。

「韓国人がこうした(日本の)店をボイコットするのは当然のこと。韓国人にできるのは、そのくらいのことだから」

ただ、この女性は、不買運動は残念なことであるとも付け加えた。ユニクロの製品がおしゃれなだけでなく、持ちが良く、「値段が高くない」ことには議論の余地もないからだという。

実際、他の客がいない店内でメンズのスーツやドレスシャツの価格をチェックしていた米国人は、自国の百貨店メイシーズやノードストロームなどで販売されている同じような製品に比べ、はるかに安値であることに驚いていた。
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編集=木内涼子

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