ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信


ファストフードでは、ソーダ類については紙コップをもらって自分で注ぎ足すのが普通なのだが、チックフィレイではいまだにスタッフが注いで手渡す。ということは、無料のおかわりも従業員がいちいち受けることになるが、これもこのお店のこだわりで、必ず笑顔とともにおかわりを受けつける。

むしろ、たまたまテーブルの近くを通りかかったスタッフが、筆者の空いたコップを見て、「おかわりを持ってきましょうか?」と声をかけられたほどで、このサービスぶりをこれでもファストフードと呼んでいいのかと思ってしまうくらいだ。

このような理由もあり、チキンサンドイッチの業界では、チックフィレイは33%ものマーケットシェアを持ち、老舗のケンタッキーの15%を押さえて、ダントツのトップだ。


Andriy Blokhin / Shutterstock.com

創業者がラスベガス出店を許さず

全米一の売り上げというのもそうだが、このファストフードが実にユニークなのは、創業者のキリスト教バプテスト派の信仰のために、日曜日は休業することだ。かつてと違い、日曜日だから店を閉めるということはサービス業ではほとんど見られなくなってきているアメリカで、しかもファストフードで、日曜休業というのはおそらくチックフィレイが唯一だ。

とくにショッピングモールのようなところでは、どこかの店がシャッターを閉めていると、それだけで美観と通行量にマイナスの影響与えるので、普通ショッピングモールは日曜日に店を閉める店にテナントを許可しない。

しかし、チックフィレイはこの販売力なので、ショッピングモールも例外的にテナントを与えざるを得ない。実際に筆者も、チックフィレイだけシャッターの閉まった日曜日のモールを見たことがあるが、なんとも違和感がある。逆に言えば、7日のうち、6日しか営業しなくても、全米一の売り上げを上げるというのだから、このチェーンのポテンシャルはすごい。

筆者の住むラスベガスはカジノの街ということで、これまた創業者の信仰心から出店を許さず、彼が亡くなるまで出店がなかった。嘘のような本当の話だ。創業者が亡くなると、会社はただちにラスベガスにも出店をしたが、この「24時間365日」がサービス業ようなラスベガスにあっても、やはり日曜日は営業を休んでいる。

さらに創業者が、同性愛に対して批判的なコメントを残していたことや、会社として同性愛に反対の立場をとる協会に寄付をしたことなどが、人権団体の反発を招き、2012年には全米でのチックフィレイでボイコット騒動まで起こっている。

何かと話題を呼ぶファストフード店だが、在米の日本人にもとても味に定評があり、油がきつくなく食べやすいので、アメリカを訪れた際には、ぜひお試しを。

連載:ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信
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文=長野慶太

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