日本の産後は異常事態 ママたちを苦しめる「暗黙の了解」


実家の親との問題も無視できません。寒い正月に、生後間もない赤ちゃんを実家に連れて来いとリクエストされ、果たして大カゼをひいて大変だったという例など、筆者の友人で、親問題で苦労した女性は多く、絶縁となったケースすらあります。

郷里で生んで実家で産後を過ごして助かったという例も多い一方で、親(または祖父母)世代の古い育て方を押し付けられて困ったという声も少なくありません。親には恩はあれど、要求すべてに応えるのは不可能です。

最大の課題は、こうした実態を知らない、問題とすら思っていない人がとても多いということです。まず、知る、理解することから、よりよき未来の第一歩が始まるのだと考えます。

「親になる」ためのスクールを

いま、出産や育児については、人のつながりがいっそう大切な気がします。産院のコミュニティが孤独の救いになり、学ぶこともできたと語る人もいます。より多彩な形で繋がることができれば、もっと良い産後環境を得られるはずです。

質の良い情報のキュレーションも価値があります。子育てテックのスタートアップ企業も、ひと役買ってもらえればと期待しています。産後育児という大問題を解決するには、起業家精神とクリエイティビティが不可欠でしょう。

幸い、筆者の産後環境は、いろいろな人や運にも助けられ、幸せな1年目を迎えようとしています。産後当初は余裕もなく赤ちゃんを可愛いとは感じなかったのですが、いまではとても可愛い赤ちゃんと育児生活を楽しんでいます。



子育ての課題は広範にわたります。待機児童など問題は色々とありますが、保育園に入れる前も重要です。産後初期の問題ももっと議論されるべきではないか、と痛感しました。

経営でもプロジェクトでも、初期に注力してしっかり問題に対処することが肝心です。初期にやり過ごした問題は、時間とともに大きくなり、気づいたときには対処に多大なコストがかかるからです。育児においては、はじめの100日間、赤ちゃんと母親をサポートできるようにするのは、父親、さらにはその雇い主、そして社会の責任ではないでしょうか。

筆者も教育者の1人ですが、「親になるためのスクールが欲しい」そう思いました。2〜3時間の形式的な講習ではなく、本格的なもの。長期でなくても、集中講座でもeラーニングでも、方法は問わないので、どなたかやりませんか? 体験は偏っている筆者ですが、経営学のセンスを加える貢献ならできると思います。

連載:ドクター本荘の「垣根を超える力」
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文=本荘修二 写真=Getty Images

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