ビジネス

2019.08.16 10:00

「1.5か月PDCAサイクル」でメンバーのパワーを引き出し、柔軟な組織に|GROOVE X 林 要

GROOVE Xの林要



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こういう方法ってパワーが出るんだなぁとPepperを開発する中で経験則で思っていたのですが、起業する時に勉強した際に、実はこの方法が「アジャイル開発手法」というよく知られたやり方であることを知りました。そして、その中に「スクラム」という、組織のあり方にまで言及し体系化している手法があることを知りました(スクラムとは、リーダーが期限や予算・権限を区切ってメンバーにトップダウンで指示を出す「ピラミッド型」組織に対して、フラットな自律型組織でプロジェクトごとに機動的に役割を持ち連携する組織マネジメントスタイル)。

日本生まれの「スクラム」型マネジメント

──実際にその「スクラム」型マネジメントを実践するうえでに、上手くいく秘訣はどこにあるのでしょうか?
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重要なのは、メンバーがスクラムの有効性を「信じること」ですね。

スクラム自体は方法論ではなくて、「人は何をしたら動くか」という経験則が体系化されたものです。しかし一般的な「ピラミッド型の組織」のマネジメントに慣れている人は、その有効性をなかなか信じることができない。

GROOVE Xではまずソフトウェアエンジニアから成功事例を出すことで、ハードウェアエンジニア、ビジネスサイドへと「信じる」人を増やしていっています。

──それはまさに冒頭におっしゃっていた「非常識な真実」が組織マネジメントにおいても当てはまっているということですね。

そうかも知れませんね。数か月前まで「スクラムなんて無理だ」と言っていた人が、今や立派にスクラムの心と可能性を語れるまでに成長しているケースもあります(笑)。

──どのくらいの頻度で成果コントロールをしているのでしょうか?

2週間ごとに成果をシェアすることにしています。といっても、あくまで「成果の出た人が見せていく」というスタイルです。重要なのは2週間おきに何かを達成することそのものではなく、自分の決めた期限に対して自分で頑張れること、そしてそれを着手前と着手後で他の人とシェアできることだと考えています。

たとえば、営業主体の会社であれば、営業が頑張って目に見える売上さえ上がっていれば、どこの部署の人達も幸せになれますよね。でも、GROOVE Xのように製品をリリースするまでずっと潜り続けているような企業は、すぐには未来が見えないので、社員が「大丈夫かな」と不安に駆られてしまいやすいわけです。

それを防ぐために、スクラムのメリットをフルに活かして誰かがやった仕事を全員にシェアするんです。全く別の部門の人のやることって、まるで魔法に見えるんですよね。ハードウェアのプロの仕事はソフトウェアのプロにとっては魔法だし、逆もまた然り。隣にいる魔法使い達の操る魔法を見て、スタッフが皆、不安を癒していくんですよ。
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文=小縣拓馬 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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