300万年前の隕石が生んだガラス玉、ハマグリの化石から発見

Marko Aliaksandr / shutterstock.com

2006年、サウスフロリダ大学の大学生だったMike Meyerがフロリダ州の化石層から発見されたハマグリの化石を調査していたところ、珍しいものを発見した。

炭素質の殻の微化石の中に、透明な小さな球を見つけたのだ。その球体には貝殻状の断口が認められたため、微晶質の物体か非晶質固体のようなガラスであると推測できた。しかし当時、Meyerにはこのマイクロ小球体がどこから来たのかが分からず、10年以上も自宅の箱の中に入れたままになっていた。

その後、ハリスバーグ科学技術大学で地球システム科学の助教授を務めるようになったMeyerは、小球体の化学的性質を分析した。小球体の化学成分を、火山の噴火によってできたガラス玉や、隕石の衝突で形成されたガラスやスラグ(金属の製錬で分離される物質)と比較した。

その結果、小球体は隕石が衝突することで形成されたマイクロテクタイトの可能性が高いことが分かった。隕石の衝突によってできたものとしては珍しく、この小球体にはナトリウムが多く含まれていた。

Meyerの論文によると、ナトリウムは衝突が海で起きたことの証拠だという。衝突によって大量の海水が蒸発することでナトリウムが抽出され、溶けた海底の堆積物と混ざったのだと推測している。溶けて液状になった岩石は衝突地点から飛び散り、空中で固まって海に降った。そして死んだハマグリの中で浸食が進み、保存されていたと見られている。

衝突が起きた場所と時期は依然として判明していない。研究チームはマイクロテクタイトが広範囲にわたって散らばっていると見て、化石の収集家たちに「変わったものを発見したら教えてほしい」と呼び掛けている。小球体が発見された採石場の地層から、衝突は200~300万年前に起きたと推測されている。

編集=上田裕資

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