約100年前の隕石衝突「ツングースカ大爆発」が再発する確率

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2019年9月、小惑星「2006 QV89」が地球の軌道に近づく。天文学者たちは以前、この小惑星が地球に衝突する可能性を7000分の1と予測したが、幸いなことに直近の研究で、衝突の可能性はないとされた。

この小惑星は直径40メートルで、衝突すれば広島に落とされた原爆100個分のエネルギーが放出されることになる。爆発の規模は、1908年6月30日にシベリアのツングースカで発生した大爆発に匹敵するものになっていたはずだ。

ツングースカ大爆発では2000平方キロメートルにわたるシベリアの森が焼かれ、爆発によって生じたキノコ雲は数百キロ離れた場所からも目撃された。クレーターや隕石のかけらは見つかっていないが、巨大な物体が空中で爆発したものと考えられている。

現地では火の玉が森に落ちて行ったという証言もあり、隕石の衝突の際に発生するナノダイヤモンドや鉄質及びケイ酸塩質スフェルールなどが、地中から発見されている。状況から見て、直径30~90メートルの巨大隕石が爆発したものと考えられている。

中規模な隕石の衝突については、これまであまり記録が残っていない。ツングースカ大爆発は、5万年前にアリゾナ隕石孔ができた時の衝撃と比べれば小さなものだが、2013年2月15日にロシアのチェリャビンスク州の上空24キロメートルで直径17メートルの小惑星が爆発した時と比べれば大きい。

チェリャビンスクの隕石落下では、衝撃波で割れたガラスの破片などにより1500人が負傷した。仮にツングースカ隕石の大気圏突入が4時間遅れで発生していたら、被害が起こった地点が誰も居ない沼地ではなく、人口15万人のサンクトペテルブルクになり、街が壊滅していたかもしれない。

科学者らはこれまでの研究から、ツングースカ大爆発のような衝突が起きる頻度は100~1000年に1度と試算してきた。その後、NASAの新たな研究によって、ツングースカ大爆発のさらなる詳細が判明した。

NASAによると、ツングースカ大爆発を起こしたのは直径50~80メートルの小惑星だったという。小惑星は時速5万4700キロで大気圏に突入し、上空5~10キロメートルで爆発した。直径が100メートル以上の小惑星は太陽系に4万個以上存在するが、同程度の大きさの物体が地球に衝突する確率は1000年に1度ほどという。つまり、これまで考えられてきた数百年に1度よりは低い確率だという。

編集=上田裕資

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