米「自動運転シンポジウム」に集結した世界トップ企業の主張

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ドローンを活用した実験も

シンポジウムではEUの「ペガサス(Pegasus)」プロジェクトが、リアルなシナリオに基づくシミュレーションシステムを紹介した。同社では、混雑した道の上空をドローンが飛行し、ドローンがトラッキングしたデータと地上を走行する車両が取得したデータを組み合わせて実際の交通状況に基づいたシミュレーションシナリオを生成している。

ペガサスは、生成したシナリオを「ASAM OpenScenario」などのオープンフォーマットに加えたいと考えている。これらのフォーマットはまだ初期段階にあり、会社ごとの個別フォーマットに変換することは容易ではない。センサーのカスタム設定などのシナリオをインポートするには、対象となる道路を専用車でマッピングする必要があり、大きな労力が掛かる。

ペガサスも、安全性よりもリスクを測定するアプローチを推奨しており、今後はこの手法が主流になると思われる。保険会社はリスク管理を専門としているため、このアプローチが普及することを歓迎するだろう。

ウーバーも信頼回復、目指す

ウーバーATGの責任者、Zoah Zychも、同社が新たに作成した安全計画について説明した。ウーバーは死亡事故を起こし、自動運転車に対する社会的な信頼を著しく損ねた一方、信頼回復を目指して、他社以上に慎重な安全計画の策定に務めている。

Zychは、ボーイングによる最近のトラブルによって、技術だけでなく、企業そのものに対する不信を招いたと指摘した。彼はその後、自動運転車に関してはウーバーが社会の信頼を損ねたことを明確に述べなかったことについて聴衆に謝罪した。

ボルボで衝突回避の責任者を務めるTrent Victorは、テスト走行の距離を安易に安全基準として用いることに批判が集まっていると述べた。Victorによると、他社の多くが人間と同等の安全性を追求しているのに対し、ボルボは一歩踏み込んで、運転技術が高く、注意力の高い人間のドライバーと同等の安全性を目指すという指針を打ち出している。

編集=上田裕資

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