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2019.08.15

社会課題解決に挑む!日本のインパクト・アントレプレナー35 Part 2

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「インパクト・アントレプレナー」──社会性(ソーシャル)と事業性(プロフィット)を高度に両立させている新しい起業家たちが生まれている。Forbes JAPANでは、アドバイザリーボードと編集部で「日本のインパクト・アントレプレナー35」を選定した。これからの社会、そして企業の新しいスタンダードをつくる彼ら彼女らを3回に分けて紹介する。(Part 1/Part 3はこちら)


11. ミドリムシで世界を救う
出雲 充|ユーグレナ(設立 2005年8月)

藻の一種であるミドリムシ(ユーグレナ)を活用した食品や化粧品の販売、バイオ燃料の研究等を行う。2005年に世界で初めてユーグレナの食用屋外大量培養に成功し、貧困問題解決を目標に事業化。次世代ディーゼルやジェット燃料をミドリムシから精製するエネルギー・環境事業のほか、17年7月に買収した遺伝子解析のジーンクエストでは武田薬品工業らと共同研究を行う。12年12月東証マザーズ上場。

12. 超強靭、人工合成のクモの糸
関山和秀|Spiber(設立 2007年9月)



強度は鉄鋼の4倍、ナイロンより伸縮性が高く、300度の高熱にも耐える。最強の繊維・人工合成クモの糸「QMONOS(クモノス)」の量産化に世界で初めて成功した慶應大発スタートアップ。本格的な量産化に向けてタイでの工場新設を決定しており、21年から稼働予定。

クモの糸だけでなく、同社のコアテクノロジーであるタンパク質合成技術を用いたさまざまな共同開発も進む。源馬大輔氏とタッグを組んだベビーカシミヤを凌ぐ風合いの“原毛”、トヨタらと共同開発した長時間運転しても疲れない自動車シートのほか、アデランスとの人工毛髪開発も進む。18年11月、クールジャパン機構などから50億円を調達。累計調達額は約224億円。

13. 世界200億着の廃棄アパレルを救え
福屋 剛|ウィファブリック(設立 2015年3月)

アパレル在庫のBtoBマッチングプラットフォーム「スマセル」を運営。匿名のフリマ形式により、在庫衣類や生地などをカンタンに売買できる仕組み。従来は廃棄処分か業者に二束三文で下取りしてもらっていた不動在庫が、通常流通価格の30〜99%で売買できる。3000社以上が10万商品を掲載し、1点から仕入れも可能。世界で毎年200億着以上が廃棄される「アパレルの不動在庫問題」の解決を目指す。

14. 「米」からつくるバイオエタノール
酒井里奈|ファーメンステーション(設立 2009年7月)



本社は岩手県奥州市。独自の発酵・蒸留技術を用いて、非食用の米からエタノールを製造。製造過程で生まれる副産物のほぼすべてを無駄なく養鶏や肥料として活用することで、廃棄物ゼロの循環型事業を実現している。環境に配慮した製品が望まれる化粧品業界は、同社の原料と製造ストーリーを高く評価。各大手メーカーより引き合いがあるほか、大手セレクトショップ向けオリジナル商品なども手がける。

サーキュラーエコノミーの成功例として海外からも注目され、イスラエルからの視察も。同社のサステイナブルな取り組みは観光客を呼びこむコンテンツともなっており、農家と協働したツアーなども盛況だ。
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文=Forbes JAPAN編集部

この記事は 「Forbes JAPAN 社会課題に挑む50の「切り札」」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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