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2019.08.14

社会課題解決に挑む!日本のインパクト・アントレプレナー35 Part 1

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4. 血糖計の痛みから世界4億人を解放
山川考一|ライトタッチテクノロジー(設立 2017年7月)

世界初、採血不要の血糖値測定器を開発中。世界に4億人ともいわれる糖尿病患者は、1日に4〜5回指などに針を刺して採血し、血糖値を測る必要がある。しかし痛みが伴ううえ金銭的負担も大きく、感染症の危険もある。同社は従来の10億倍の高輝度レーザーにより、国際標準化機構(ISO)が定める測定精度を実現。指をセンサーに数秒かざすだけで血糖値が測定できる。2021年の製品化を目指す。

5. テクノロジーで「孤独」をなくす
吉藤健太朗|オリィ研究所(設立 2012年9月)



孤独化の要因となる「移動」「対話」「役割」という課題解決を、デジタル化した意思伝達装置や、遠隔操作型の分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」といったテクノロジーで実現する。18年11月に期間限定でオープンした「分身ロボットカフェ」の店員は、身長120cmのロボット「OriHime-D」。ALS患者など、外出が困難な人たちが遠隔操作で接客する。

新しい働き方である「アバターワーク」の象徴的存在として、20年をめどに常設店の開業を予定。孤独解決以外にもさまざまな応用がなされており、本当にそこにいるような遠隔出社を可能にする「OriHimeBiz」は、育児や介護中の社員のリモート出社として約70社が導入。

6. イエバエで世界の食糧危機を救う
流郷綾乃|ムスカ(設立 2016年12月)



45年間1100世代の品種改良を行った「イエバエ(家蠅)」の幼虫を使い、生ゴミや糞尿などを有機肥料や飼料に100%リサイクルする技術をもつ。通常1カ月以上かかる生ゴミや糞尿の肥料化を1週間で処理でき、さらに羽化する前に捕獲し乾燥させることで、イエバエの幼虫は飼料に変わる。今年3月に丸紅、4月に伊藤忠商事がそれぞれムスカに資本参加し、戦略的パートナーシップを締結。

次のマイルストーンは、建設費用10億円超と試算される、1日100トンの糞尿処理能力を有する第1号バイオマスプラントの建設だ。グローバルな人口増加と中間層の拡大により、近い将来に発生するとされる「タンパク質危機」に挑む。
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文=Forbes JAPAN編集部

この記事は 「Forbes JAPAN 社会課題に挑む50の「切り札」」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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