この動きは、エスティローダーに限らず、高級化粧品や高級酒類において顕著なようで、化粧品のロレアル社は、空港店舗の売上を1年で27%も増加させた。スピリッツ(酒)のバカルディは、ロンドンのヒースロー空港で1本4万円の特別ウイスキーの販売を始めたら、いちばん多く売れたのは、3本セットの12万円パッケージだったという。
このように、空港の拡張により、ザ・データ・サークルによれば、2010年の世界の空港店舗売上は4兆円だったが、これが2018年には、倍近い8兆円にまで上がっているという。
拡張されて新装となった空港は快適
海外旅行者の空港の待機時間は、確かに大きなマーケットだ。筆者の地元のラスベガスでは、ブランド品だけでなく、土地柄、空港のサテライトにまでスロットマシンが並んでいる。国際線では、ドルを使い切ってしまおうとマシンに投入する外国人客の姿は見慣れた風景だ。
マーケティング理論上も、滞在時間が長いほど、購入確度が上がるというのは証明されており、かたくなに搭乗口前で座っていない限り、ついつい買い物をしてしまうのは共通の心理だ。
かつてのように、ちょっと店に立ち寄ると、日本語を話す店員が商品を勧めてくるので、「気が引ける」という姿は激減した。いまは、空港のブランド店には中国語スタッフは多くいても、日本語スタッフは限定的だ。
拡張されて新装となった空港ほど、ソファーのようなゆったりした椅子が充実し、電気のコンセントもいたるところにあり、天井がバカバカしいほど高く(多くは天窓を取り入れている)、子供のための遊戯具、ゆったりしたレストランやバーなど、より快適につくられている。
その高揚感と空港店の売上の相関関係は、確かにあるに違いない。最近は、ウェブサイトでショップ情報などを充実させている空港も多い。夏休みの空の旅は、下調べをして、空港での買い物もぜひ楽しんで。
連載:ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信
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