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2019.08.14

米ラスベガスでバッタが大量発生、「人類の危機」の前兆説も

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この夏、米ラスベガスの中心部でバッタが大量発生し、街路を覆いつくす異様な状況となっている。バッタは特に、ネオンや緑の多い場所に群がっている。

今回のバッタの大量発生は、気象レーダーに影響が出るほどの規模だ。ラスベガス周辺の気象パターンが正しく検知できないため、国立気象局は気象レーダーに特別な調整を施した。

昆虫の大量発生と聞くと、聖書に出てくるエジプトを襲った「十の災い」を思い出す人もいるかもしれない。そのうちの1つでは異常発生したイナゴが作物や木を食い荒らし、屋内にまで侵入して全てを覆いつくした。これが原因で収穫が減り飢饉も起こった。

ラスベガスもこのような危機に襲われるのかもしれないと思う人もいるが、バッタは無害で植物への影響も少ない。今回大発生したバッタは、南米からカナダのブリティッシュコロンビアまでの広範囲に生息しているが、北米の中でも特に砂漠地帯に多い種だ。

この種のバッタの大量発生はたびたび起きている。1952~1980年にアリゾナ州で6回の大量発生があったことが研究から分かっている。そのうち1回は実に2年間も続いた。こういった大量発生はアリゾナのほかニューメキシコ州、ユタ州、カリフォルニア州で起こった記録がある。

今回の場合はラスベガスと以南の地域で平年以上の降雨があったことに関連している。ラスベガスの年間降雨量はおよそ約130ミリだが、1~6月の半年間で1年分の雨が降った。雨が多かったことにより、バッタの大発生が起きたのだ。

バッタが集まるのはエサとなる雑草がある緑地や、紫外線の周りだ。ラスベガスに行った事がある人なら、町中に紫外線の明かりがあることを知っているだろう。最もよく知られているのがピラミッド型のカジノホテルの「ルクソール」から空に向けて放たれている紫外線の光線で、この光線にバッタが群がっている様子を撮影した動画もネット上に投稿されている。一方で、白熱電球の周りにはバッタはあまり寄ってこない。

バッタは無害で、当局も殺虫剤を使ってまでバッタを退治しようとはしていない。この事態の収束がいつになるのかは分からないが、専門家によると数週間続く可能性もある。

編集=上田裕資

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