視線を合わせることが失礼な態度と見なされることがあり、「こんにちは」と声をかけることが、相手の貴重な時間を奪うことにもなるとされる。誰かがデリで買った1杯1ドルのコーヒーが入ったカップを倒したりすれば、それは非公式の犯罪とも捉えられる。
だが、ニューヨークの物件を専門に扱うマーケットプレイス、ストリートイージー(StreetEasy)によると、この都市は実際には、米国で最も友好的だという。
不動産検索サイトのジロウ・グループ(Zillow Group)が運営するストリートイージーが実施した調査の結果、ニューヨーク市内に住宅を所有する人の31%が、「近隣の住民の中に親しい友人がいる」と回答した。また、近所の人と「時々雑談する」という人は、53%に上った。
全米の平均では、「近隣の住民の中に親しい友人がいる」という人の割合は27%、「気軽に会話をする」という人は51%だった。
一方、賃貸住宅に住んでいる人は、住宅所有者に比べ、わずかながら隣人たちとの付き合いが少ないようだ。ニューヨークで物件を賃貸している人のうち、近所に住む人と「親しい友人同士だ」という人は24%だった(全米平均は21%)。
ニューヨークで一戸建てまたはタウンハウスを所有・居住する人の60%は、「隣人たちとは親しい友人同士だ」と答えている。共同住宅に住む人の場合、同様に答えた人は30%だった。
報告書は、人口が800万人を超えるニューヨークについて、他人との距離が近いことが、住民たちが関係を築くことを促している可能性があると指摘している。
「好むと好まざるとにかかわらず、ニューヨーカーたちは同じ場所で洗濯し、同じエレベーターに乗り、同じ場所で郵便物を受け取る。そして、狭い階段や廊下でお互いに譲り合いながらすれ違う」「こうした機会の全てが隣人とのつながりや交流を促し、その他の地域と比べ、隣人同士がより親しくなりやすい状況を生み出していると考えられる」
ただし、それは必ずしも、ニューヨーク市の5つの区全てに平等に当てはまるというわけではないとみられる。調査に協力したニューヨークの住宅所有者のうち、3%は「隣人を完全に避けている」と答えている(全米平均は5%)。
調査ではその他、賃貸住宅に住む人の場合、社会的交流の程度は主に居住期間によることも明らかになった。ニューヨークで同じアパートの部屋に1年以上住んでいる人のうち、隣接する部屋に住む人との交流がないと回答した人は10人に1人だった。全米平均では14%となっている。賃貸住宅の居住期間が1年未満の人の場合、隣人との交流がないと回答した人はニューヨークでは16%だった(全米平均では20%)。
もう一つの調査結果
ストリートイージーの報告書は、「米国で最も不機嫌な人が多い都市はどこだろう」と思っている人には参考にならない。ニューヨークに関するデータしか明らかにしていないためだ。
この疑問に対する答えを示すのは、旅行雑誌「トラベル・アンド・レジャー(Travel+Leisure)」が発表する「米国の最も人に失礼な都市」ランキングだ。2017年春に公表された調査結果では、ニューヨークは3位につけている(1位はフロリダ州マイアミ)。