イスラエルの「フードテック」企業、約250社の最新トレンド

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人工肉を製造する米企業「ビヨンドミート(Beyond Meat)」の株価は、5月2日のIPOから800%上昇した。一方、競合の「インポッシブル・フーズ(Impossible Foods)」は5月に3億ドルを調達し、累計調達額は6億8750万ドル(約750億円)に達した。

ビヨンドミートの時価総額は140億ドルとなり、個人投資家がこれから投資するには割高な印象だ。一方で、Impossible Foodsは非上場のため、個人が投資するには困難だ。この分野に投資する方法があるとすれば、イスラエルのクラウドファンディングプラットフォーム「OurCrowd」に参加することだ。OurCrowdには、183ヶ国から3万人を超える個人投資家が参加している。

OurCrowdは、ビヨンドミートが上場する前に出資をしている。「我々にとっては大きな金額を出資した。我々はフードテックを重視しており、市場規模10兆円の食品業界は、これから大きな変化が生じると考えている」とOurCrowdの創業者兼CEOであるJon Medvedは話す。

イスラエルは、人口に占めるベジタリアンの割合が13%とインドに次いで高く、英紙インディペンデントは2年前にテルアビブを「世界のビーガンの中心地」と呼んだ。

イスラエルのスタートアップ動向を研究する「Startup Nation Central」のTamar Weissは、「イスラエルのトップ人材は世界に影響を及ぼそうと、こぞってフードテックに挑戦している」と述べている。

フードテックに参入するためには幅広い領域に精通している必要があるが、アグリテック(農業テクノロジー)で成功したイスラエルにとって、フードテックへの参入は自然なステップだ。Startup Nation Centralによると、2018年末時点でイスラエルにはアグリテックとフードテックのスタートアップが計680社あった。

同社が今年3月に公表したレポートには、次のように記載されている。「この分野の企業は人口が増加する中、希少な天然資源の消耗を防ぎ、食糧安全保障を実現するためにイノベーションに積極的に取り組んだ」

250社以上のフードテック企業

Startup Nation Centralのデータベースには、イスラエルのフードテック関連のスタートアップが252社登録されている。これらの企業の多くは設立から日が浅いが、注目の高まりを受けて多額の資金を調達するケースが増えている。

例えば、「DouxMatok」は、砂糖や食塩の過剰摂取を防ぐ代替材料を開発した。また、「Tipa」は、生分解性のパッケージを開発している。「パッケージはオレンジの皮のように自然に負担を掛けないものであるべきだ」というのが同社の信条だ。
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編集=上田裕資

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