太陽光で進む宇宙船「ライトセイル2号」の画期的テクノロジー

メキシコ上空の地球軌道で展開された「ライトセイル2号」の太陽帆(7月23日・惑星協会提供)


ソーラーセイルに初めて成功したのは、2010年に金星に向けて打ち上げられた日本の「IKAROS」だ。NASAも2010年に「NanoSail-D」を打ち上げ、ソーラーセイルで地球周回軌道に乗せることに成功したが、その後の「Sunjammer」ミッションは2014年にキャンセルとなった。

カール・セーガンも提唱した技術

ライトセイル2号のプロジェクト費用を集めるためにクラウドファンディングキャンペーンが行われ、5万人もの人が応募した。今回のプロジェクトの成功により、将来的に宇宙空間で長距離を移動することが可能であることが証明された。ソーラーセイリングは長い時間をかけて徐々に速度が上がり、燃料を持ち運ぶ必要がないため、支持者が多い。

「ブレークスルー・スターショット (Breakthrough Starshot)」というプロジェクトは、太陽系に最も近い恒星で、4.2光年離れた「プロキシマ・ケンタウリ」にソーラーセイリングの技術を応用して探査機を到達させようというものだ。

惑星協会のCEO、Bill Nyeは、声明の中で次のように述べている。「惑星協会にとって、数十年来の構想が成功した瞬間だった。カール・セーガンは、私が1977年に大学で彼の授業を受講したときに、ソーラーセイリングについて語っていた。ソーラーセイリングの歴史は、少なくとも1607年まで遡る。ヨハネス・ケプラーは、彗星の尾が太陽のエネルギーによって作り出されていることを発見した。ライトセイル2号のミッション成功は、宇宙飛行と宇宙探査のあり方を大きく変えた」

ライトセイル2号の今後の計画は、軌道の高度をさらに上げて太陽帆の状態を調査することだ。ゆくゆくは大気抵抗が大きくなり、1年ほどで大気圏に再突入し、燃え尽きることになる。それでも、今回のプロジェクトはこの段階で成功だと宣言することができる。

太陽帆の将来性は有望だ。NASAは来年、ソーラーセイルで推進するCubeSatを用いたミッション「NEA Scout」で地球近傍小惑星を探査する計画だ。ライトセイル2号の成功により、将来は人類が開発したマシンが恒星間をソーラーセイルで移動する日が訪れるかもしれない。

編集=上田裕資

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