テクノロジー

2019.08.13 16:00

太陽光で進む宇宙船「ライトセイル2号」の画期的テクノロジー

メキシコ上空の地球軌道で展開された「ライトセイル2号」の太陽帆(7月23日・惑星協会提供)

メキシコ上空の地球軌道で展開された「ライトセイル2号」の太陽帆(7月23日・惑星協会提供)

先月、カリフォルニア州に本拠を置くNPO「惑星協会(Planetary Society)」は、スペースXのロケットで打ち上げた宇宙船「ライトセイル2号」が、制御されたソーラーセイリング(太陽帆による推進)に史上初めて成功したと発表した。

700万ドルの費用をかけたライトセイル2号は、6月25日にスペースXのロケット「ファルコンヘビー」で打ち上げられた後、小型衛星「Prox-1」から放出され、高度720kmの軌道に乗った。ライトセイル2号は、小型人工衛星「CubeSat」にアルミメッキを施したマイラー製の太陽帆を内蔵させたものだ。惑星協会によると、ライトセイル2号は7月23日に太陽帆を展開することに成功したという。

その後、ライトセイル2号の平均高度は725.64kmから727.47kmに上昇した。惑星協会によると、これは宇宙船が太陽光の粒子を捉えて推進している証拠であり、人類史上数回しか成功していないことだという。

「我々にとっての成功基準は、太陽の光圧だけを使ってCubeSatの軌道を変えるという、人類史上初めての試みを達成することだった。これまでの道のりは長かったが、成功することができ、チームをとても誇りに思う」とライトセイルプログラムのマネジャーで、惑星協会のチーフサイエンティストであるBruce Bettsは声明の中で述べた。

ライトセイル2号は、最も地球から遠ざかる軌道の地点を2km上昇させたことで、太陽光の粒子を帆に受けて推進したことを証明してみせた。太陽帆の面積は32平方メートルで、1つの粒子が帆に当たるインパクトは手のひらにペーパークリップを乗せるほどしかないが、時間の経過とともに大きな推進力を生み出す。

惑星協会は、今回と同じミッションで2015年にライトセイル1号を打ち上げている。その時は、いくつかの問題を克服して太陽帆を展開するまでは成功したが、ソーラーセイリングには失敗している。
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編集=上田裕資

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