同社が発表した直近の第2四半期決算では、利益が予想を下回ったが、その要因のひとつがワンデー・デリバリーだったのだ。配送時間を大幅に短縮し、同社サイトで注文した商品を1日で届けるサービスだ。
アマゾンは7月25日、第2四半期の利益が前年同期比で3.6%増となり、26億ドル(約2750億5100万円)だったと発表した。1株当たり利益では5.22ドル(約552円)となり、ウォール街アナリストによる予測5.57ドル(約589円)には届かなかった。
第2四半期のアマゾンの配送費は36%も急増し、80億ドルを超えた。直前の3四半期における配送費の増加率がおよそ20%だったことと比較すると、著しい増加だ。
アマゾンは以前から、商品を2日で届けるサービスを提供していたが、2019年4月、プライム会員向けにワンデー・デリバリーを新たに標準サービス化すると約束。配送力強化に向けて投資を拡大していた。
同社によれば、ワンデー・デリバリーの拡大は順調で、プライム会員が無料ワンデー・デリバリーを利用して購入できる商品は1000万点を超えているという。
アマゾン創業者でもあるジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は声明で、「顧客は、プライム会員向けワンデー・デリバリーの試みに反応を示している。当社には好意的なフィードバックが多数寄せられており、売上の伸びを加速させている」と述べた。
アマゾンが始めた年会費119ドル(約12590円)のプライム会員制度は、1億を超えるアメリカの世帯にとって欠かせないサービスとなっている。その大きな魅力は、数百万点の商品を送料無料で購入できるところだ。
アマゾンは、先手を打って送料無料サービスを開始。小売チェーン店のウォルマートやターゲットなども、アマゾンを追うかたちでそれぞれ同様のサービスを導入しているが、通常は一定数を注文しないと送料無料にならない。ただし、アマゾンと違って年会費は不要だ。
ワンデー・デリバリーは、気の短い消費者を満足させるための作戦でもある。アマゾンは7月25日、アナリストや投資家との電話会議のなかで、迅速な配送が期待できないという理由でアマゾンからほかのサイトに鞍替えする消費者の数を、ワンデー・デリバリーの提供で減らせると見込んでいると述べた。
アマゾンの第2四半期決算では、マーケティング費用も増大している。また、従業員が増加傾向にあることから、労務費も増加している。同四半期におけるコストの全般的な増加率は21%だった。
売上高は、20%伸びて634億ドル(約6兆7070億円)となり、625億ドルというアナリストの見込みを上回った。しかし、投資家の目は、期待外れとなった利益に向けられたようだ。アマゾン株価は、7月25日取引終了後の時間外取引で2%下落した。